3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

方針

 『テス』の今日読んだ箇所で、主人公とその夫は、二人の関係についての方針について同意した様子です。
 そこで一区切りついて、その先をまだ読んでいませんが、おそらくその方針のとおりに行動することになるのだと思います。
 いずれか一方または双方の命に関わるようか事態にはならずに、そのときにできることをどちらも積極的にではなく選ぶ、といった解決策のように見えます。そういう方針を選ばざるを得ないほどに八方ふさがりの状態だということなのでしょう。
 人からの助言を得てもそういう結論に達したかもしれませんが、当事者二人で考えるのは苦しい状況です。

緊張した共同生活

 『テス』の主人公とその夫の間の緊張した共同生活についての記述がしばらく続いています。
 夫の側は、テスに親しみを感じることはできない、しかしながら、テスを憎んでいるわけでもない、といった様子ではないかと思います。
 わざと傷つけ合うようなけんかはどちらもするつもりがなく、相手からの攻撃による傷はいずれにもなさそうですが、どの方向にも進みづらく、一緒にいて何をしても傷つけ合ってしまうような苦しい状態のようです。
 いわゆる善人同士の関係に邪悪さではなく弱さのゆえのトラブルがある場合にありそうなことが、上手に、強い調子で描かれていて、出口が見えないつらさのようなものを感じます。

親しさを妨げるもの

 文庫本で上下巻に分かれた『テス』の下巻の冒頭を読んで、前回の記事に記した感想が誤りであったことがわかりました。
 テスと夫は、弱い者同士ということで受け入れ合うことはできず、敵対はしないにしても、親しくはすることができずにいます。
 夫の側の身勝手である気もしますし、時代とこの人物の経歴からすると、良い悪いの問題でなく受け入れがたいのかもしれません。

弱い者同士

 『テス』の主人公は、結婚する前に婚約者に伝えようとしていながら伝えられなかった過去の経験の問題を、結婚した直後にあったきっかけにより、夫に話そうとします。
 そこで意外な展開がありました。
 この二人は弱い者同士の夫婦なのだと思います。だからこそ補い合えるのではないかと感じさせてくれる、心に残る場面でした。
 文庫版で上下巻に分かれているうちの上巻の終わりがそういう場面でした。

そうなっていたかもしれないもの

 『テス』の今日読んだ箇所でついに主人公は結婚します。

 しかしながら、主人公には過去の経験のために結婚をただ喜ぶことができない思いがあります。相手の男性が愛するのは本当の自分ではなく、自分がそうなっていたかもしれないものである、と主人公は考えます。

 結婚した主人公の周辺で、心象風景によって暗示されるよりもあからさまな様子で凶兆ととらえられるようなことが起こります。果たして、実際に良くないことが続いてくるのでしょうか。

仲間たち

 『テス』の主人公は断り続けていたプロポーズを受け入れて婚約します。
 その婚約はまわりの人たちから温かく受け止められます。同じ男性に思いを寄せていた仕事の仲間もねたむことなく接してくれて、主人公に自分が正しいと思っていることをしようと思わせるほどの影響を与えています。
 牛の乳搾りという仕事をしている素朴な考えを持った人だからということもあるかもしれませんが、主人公にもねたみを起こさせない性質があるのだと思います。

妥協

 『テス』の主人公は、しばらくの間葛藤していたことを実行に移し、あることについてプロポーズされた相手に話そうとします。しかしながら、最後まで成し遂げることはせずに途中で妥協してしまいます。
 話さずにいたからには、ずっと黙っていようというように考えている様子です。
 話の展開から想像するに、自ら話さずとも、どこかから伝わるのだろうと思います。それとは別に、心に秘密をしまっていることは、主人公にどのような影響を与えるでしょうか。