海に出ること
『白鯨』は「わたし」による一人称の語りの形式で記述されています。読んだことがなくても名前は知っている重要な人物が出てくると思いますので、この語り手が主人公であると判断することはできません。
語り手が船に乗って海に出ようとするところから話が始まります。客としてではなく乗組員としてだと思います。この作品の背景となっている時代には、現在よりも船旅には危険が伴ったと想像します。そうであっても、船に乗り込んで働くことは、たとえば人生をリセットしたいと考えている人にとってチャンスに見えたのではないかと思います。どういう日々が語り手を待ち受けているでしょうか。
『ジャン・クリストフ』を読み終えました
『ジャン・クリストフ』を読み終えました。
主人公であるクリストフから記述が長い間外れて、クリストフ以外にも数人の登場人物についてかなり詳しい描写がありました。このブログの主の読み方が浅いせいかもしれませんが、その人物が登場しなくても話の展開に影響はないのではないかと思うような人についても、心に残る描き方がされているところがありました。
クリストフよりも年上だったり、クリストフよりも年下だったりする人たちが登場して、クリストフを中心に幅広い年代の人物が登場する作品でした。
クリストフが天才として描かれているために共感しにくい気がしましたが、クリストフをはじめ、精一杯生きる人たちの姿に励まされました。
次は『白鯨』を読むつもりです。
一人でも孤独でない人
『ジャン・クリストフ』を読み進め、いよいよあと数ページになりました。
主人公であるクリストフは、自分のそれまでの人生を振り返り、一人でいたときも孤独でなかった、と考えます。親しい人たちがそばにいなくても、心がつながっている、ということがクリストフを力づけていたのだと考えます。とても幸いなことだと思います。
執着心の弱まり
『ジャン・クリストフ』が結末に近づく中で、主人公のクリストフの執着心が弱くなっている様子が見えます。
個人のことだけでなく、社会の風潮についても、状況に左右されなくなってきています。
自分にできることはしてきたという思いからなのか、物事は変わっていくものであってこだわりはない方が良いと考えているのか、達観しているように見えます。
年を重ねて頑固になるのではなく、自分のまわりのことをあるがままに受け入れる態度は、心の平安につながりそうです。