3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

知りたい思い

 『白鯨』の今日読んだ箇所では、鯨の骨や鯨の化石について触れられていました。
 もちろんそれらはとても大きいのですが、その大きいということが、主人公にとって重要なことである様子です。対象が大きな存在であるからこそ、普通のものにくらべて、熱心に良く知りたいという動機を持っているようです。
 知りたいから調べる、知ってもらいたいから人に伝える、という熱い思いが伝わってきます。

執念

 『白鯨』の主人公が乗った捕鯨船の船長は、戦って片脚を失うことになった相手の鯨に復讐することについて強い思いを持っています。執念というのでしょうか。
 同じ鯨のために片腕を失った別の捕鯨船の船長には復讐しようという思いはないようです。
 こうして、主人公が乗っている船の船長の強い思いが際立たせられます。強い思いの故に成功することも、強い思いも及ばずに失敗することも、いずれもあり得ます。ここまでほのめかされてきた様子によると、ある一方の側の可能性が高そうです。

イギリスの捕鯨船との出会い

 『白鯨』の主人公が乗った捕鯨船は、今度はイギリスの捕鯨船と出会いました。
 その船の船長は、白鯨との戦いで片腕を失ったようです。主人公が乗った船の船長は同じ鯨との戦いで片脚を失っており、共通点があります。
 この出会いによって、主人公たちが追っている白鯨の強さが改めて印象づけられています。

独り言

 『白鯨』を読み進め、主人公が乗っている捕鯨船の乗組員たちの独り言がたくさん紹介されている箇所を読みました。
 旧約聖書のダニエル書に登場する王について、ある人物が独り言の中で話しています。この独り言の内容は結末に向けた暗示になっているようです。

「空の空なる哉都て空なり」

『白鯨』の今日読んだ箇所には、主人公の思いが強く表現されていたように思います。
 書物のうちでもっとも真実を教えるのはソロモンの書であるとして、ソロモンによる旧約聖書の「伝道之書」から「空の空なる哉都て空なり」という言葉を引用しています。
 すべては空しい、とは力づけられるような言葉ではありませんが、それを知って受け入れることが、新しい道を開いてくれるように思います。

結末に向けた情報の出し方

 『白鯨』には、主人公が乗った捕鯨船の乗組員に後々起こることがほのめかされる箇所がいくつかあります。今日読んだ箇所では、ある乗組員が海上に漂うことになった場面がありましたが、それが主人公にも起こるということが示されました。
 読者としてのこのブログの主には、どうなるかがわからない状態で結末を迎えたい気持ちがありますが、そのような望みを差し置いてでも、少しずつ結末について情報を与えることで著者はどのようなことを狙っているのでしょうか。

龍涎香

 『白鯨』の今日読んだ箇所に、龍涎香というものが出てきました。抹香鯨の腸から採れるものであるようです。龍の涎の香とは、いかにも稀にしかないもののような名称だと思います。どのような香りがするのでしょうか。
 この龍涎香が採れそうな鯨をほかの捕鯨船から奪おうと、主人公が乗った捕鯨船の高い立場の乗組員が、外国のほかの捕鯨船の船長と、その捕鯨船の乗組員を通訳として話します。船長が英語を知らないのを利用して、最初の言葉とは違う内容を通訳が話しながら話し合いが進み、その様子がおもしろおかしく書かれています。同じような場面を何かで見たことがある気がしますが、この作品はかなり昔の作品であることから、これが最初だったのかもしれないと思いました。