盾に描かれた人々の生活
『イリアス』の今日読んだ箇所では、ある登場人物のために武具が新たに作られます。
その中で盾には、農作物の刈り入れの様子など、普通の人々の生活の場面が描かれ、それが詳しく記されています。
当時の人々の生活を垣間見せてくれて興味深い記述です。
悪い知らせを伝える者
『イリアス』の中心的な人物に従う人物が戦いの中で命を落としましたが、そのことをまだ主人は知らずにいます。
その悪い知らせを伝えるために、ある人物が指名されて遣わされます。悪い知らせを伝えるには相手との信頼関係も話し方も重要で、だれにでもできることではないと思います。
選ばれた人物がどのようにその役割にふさわしいかまだわかりませんが、それを明らかに示してくれるでしょうか。
遺体を巡る攻防
『イリアス』には、戦っている両軍の主要な人物が討ち死にして、その遺体をどちらが確保するかを巡って争いが起きる場面が何度もあります。今読んでいるあたりでは特にそのことがよく触れられているように思います。
味方からすれば、自分たちの主要な人の遺体が獣や鳥に食べられてしまうのではなく、家族のもとで手厚く葬られるようにしたいというのはもっともなことだと思います。敵にとっては、身につけていた武具を剥ぎ取る様子が何回も描かれていますので、それはするとして、ほかにそうしたい理由があるのかはよくわかりませんが、武具を剥ぎ取った後も遺体を確保しようとしているように見えます。
そうした攻防の中で、無名の戦士たちも命を落としていますので、命の重さが人によって違うと見なされている様子が伝わってきます。