3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

どえらい番狂(わ)せ

 『マリー・アントワネット』に描かれている、マリー・アントワネットと王の側室との対立は、関係者の尽力により解決の段取りができ、あとは実行あるのみになります。
 しかしそこで、それがうまくいくことを好まない人たちから横やりが入ります。「どえらい番狂せ」と表現されていますが、意外なことに計画が覆されます。
 滑稽な感じがしましたが、その後で述べられている当時の国際情勢を背景として、当事者としては深刻な問題だったようです。その国際情勢についての記述も、知らない内容だったことから、興味深く読みました。

宮廷内の権力者

 『マリー・アントワネット』の記述によると、マリー・アントワネット王太子妃になった頃、夫の祖父である王の側室が宮廷の中で権勢を誇っていたようです。
 マリー・アントワネットは、そのことを快く思っていない人たちから影響を受けて、この側室と対立することになります。
 このとき、王は本来すべきであるようには物事を正しく裁いていなかった様子です。リーダーシップを取るべき人が取らないことで組織の力が削がれることの一例であると考えます。

後見人

 『マリー・アントワネット』で、マリー・アントワネットを監視するためにその母親である女帝から送り込まれた後見人が紹介されました。
 自分で監視するだけではなく、自分がいられないところにいて様子を伝えてくれる仲間を何人も作って、四六時中監視を続けられるようにして、親展の便で女帝に報告していたようです。
 お金はあまり制限をせずに使えたのだろうと想像しますが、単身で乗り込んで行って、命じられたら役割を十分に果たしたこの人物はとても立派だと思います。持てる力を存分に発揮した働きだったのだろうと思い、感銘を受けます。

2代前の王

 マリー・アントワネットの夫であるルイ16世の祖父の曾祖父であるルイ14世のことが『マリー・アントワネット』の中で紹介されていました。
 絶対王政を確立した人物で、基礎になるようなものがないところからヴェルサイユ宮殿を建てて権勢を示したようです。「朕は国家なり」という言葉はこの人物によるようです。
 2代後の王の時代に革命が起きたということですから、その転落には激しいものがあると思います。ルイ14世が財政を傾けたようですので、もうその頃から滅びの兆しがあったということなのでしょう。

歴史に影響を与える夫婦関係

 『マリー・アントワネット』における、ルイ16世マリー・アントワネットの夫婦関係についての記述を読み進めました。
 それは、マリー・アントワネットの考え方や生活、そしてこの夫婦の間の力関係に影響を与えただけでなく、それらを通じてフランスの歴史や世界の歴史にも影響を与えたということが説かれています。
 当時すでに噂になっていたようですが、後の時代にもこうした問題がおもしろそうに伝えられるのは、気の毒な気がします。

王位継承の問題

 『マリー・アントワネット』によると、ルイ16世マリー・アントワネットとの間には結婚の後しばらく子どもができなかったようです。ルイ16世の側の原因により、できる以前の問題だった様子で、文献が残っていることが紹介されています。
 その中で、当時のスペインの大使による文章がスペイン語で引用されていて、注によると訳者は日本語訳を用意したようですが、原作でもスペイン語のままにしてあることを尊重して訳を示していないそうです。内容を知りたい気がしますが、訳者のそういう配慮は理解したいと思います。

将来の敵

 『マリー・アントワネット』の中で、マリー・アントワネットが結婚に向けて移動する道中に、ある人物と出会う場面があります。
 語り手によると、将来この人物はマリー・アントワネットの敵になるようです。先のことをばらしてしまっていますが、そうしなければ印象に残らないという判断で早めにそのことを明示したのかもしれません。