3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

ルーヴル美術館

 『居酒屋』の主人公をはじめ10人以上の人たちが予定せずに急にルーヴル美術館に行く場面を読みました。
 一行の大部分にとって初めての経験です。展示されている作品の名称がいくつか記されていて、それぞれと接したときの反応がおもしろおかしく描かれています。実際に存在するものと登場人物との関わり方は創作で記すのが簡単ではないと思いますが、登場人物たちの反応はあり得る反応なのだろうと考えます。

積極的なアプローチ

 『居酒屋』の主人公は、同じ建物に住んでいる男性から積極的なアプローチを受けます。根本に信頼関係があるからか、断られても断られても諦めずに続けていきます。この積極性はフランス、特にパリの人らしいと思います。
 気になるのは、この男性が性的な関係のことをほのめかすのではなく明示的に話しているところです。こちらも当時のフランスで特に珍しいことではなかったのでしょうか。

貧しいながらも明るい生活

 『居酒屋』の主人公がある集合住宅に連れて行かれてその様子を見る場面を読みました。
 そこに住んでいるのは貧しい人たちですが、その人たちに明るさがあるように描かれています。
 このブログの主は昔、外国の大都市にある貧しい人たちの住む地域を訪れたことがあります。そこにいた子どもたちが楽しそうにしていたことを思い出しました。
 食べていくことが難しければまた違うのでしょうが、食べていくことができれば、満ち足りることを知っていれば、不満が少なく生活できる心の豊かさを持つことは可能だということであると思います。

自分の寝床で死にたい

 『居酒屋』の主人公がささやかな心の願いを口にする場面を読みました。
 自分の寝床で死にたい、と言っていますが、それ以外の死に方をする人が多くいたということでしょうか。この言葉の少し前に、酒によって転落して亡くなった人の話が出てきていますが、そのような事故のような理由で平和な死に方をしづらかったのかもしれません。
 現代の日本では、家ではなく病院で死ぬことが多そうで、別の意味で、自分の寝床で死ぬのは難しいように思います。

父親の影響

 『居酒屋』の主人公は家族との関係に恵まれなかったようです。
 少し前にも父親との関係が良くなかったことを話していましたが、再び、別の人との会話の中で父親のことに言及します。母親に対するひどい仕打ちのことを話しています。
 最近読んだ『テス』でも、形は違うとはいえ父親から娘への良くない影響が描かれていました。
 娘と良い関係を築いている父親は尊敬に値すると思います。