3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

日記

入り乱れる登場人物たち

今読んでいる『八月の光』も大詰めに差しかかってきたように思います。 登場人物が入り乱れ、現れたり姿が見えなくなったりします。以前から互いを知っている人同士や、出会ってからほとんど時が経っていない人同士がいますが、人間としてそれぞれの思いがあ…

事実を受け入れたくない心

『八月の光』のある登場人物が、興味深い心の動きを見せます。 頭では理解していてそのつもりで行動したり話をしたりしながらも、受け入れたくない事実を心が受け入れておらず、無意識のうちに行動がその受け入れていないということに引きずられてしまいます…

前の方の記述とのつながり

『八月の光』を読み進めてきて、かなり前の方にあったある人の不可解な言動の背景がわかりました。背景はわかりましたが、その意味というか理由には共感できません。 その言動も原因の一つになっている事件に、ある登場人物が介入しようとしています。心の優…

後の世代への影響

昨日の記事で言及した人づきあいの少ない人たちに過去に何があったかが明らかになってきました。 もともと社交的ではなかったのではないかと想像しますが、その上に起きたことによってさらにほかの人たちとの関係を避けるようになったのではないかと思います…

人づきあいの少ない人たち

『八月の光』はある架空の町を中心に話が展開していましたが、今日読んだ箇所では、そこから少し離れたところにある町に逃亡中の登場人物が行ったためにその町が舞台になりました。 その町に住む夫婦が新たに登場しました。人づきあいの少ない人たちとして描…

追跡

『八月の光』のある登場人物は罪の上に罪を重ねながら逃亡を続けています。保安官がその人物を探して警察犬も使いながら追跡していて、刑事もののようにもなってきています。 黒人が被害者になった事件を白人の保安官がどの程度真剣に捜査してくれるのかが気…

確信に基づいて行動する男

『八月の光』を読み進める中で、ある人物が犯罪を犯すところまでの記述が終わり、別の人物に再び話の中心が移ってきました。 ほかの人に焦点が絞られた記述を挟んで、この人物はその前後(話の中では時の隔たりは小さいように描かれています)で態度が変わっ…

ヒッチハイク

『八月の光』には、ヒッチハイクの場面が出てきます。 今日読んだ箇所では、ある登場人物が自分では意識せずに手に銃を持ったままでヒッチハイクをして車に乗せてもらっています。乗せてもらった側には銃を使って危害を加えるつもりはまったくありませんでし…

思惑の異なる男女

『八月の光』の今日読んだ箇所では、ある男女の関係が描かれています。肉体関係があっても恋愛感情はなさそうで、互いに異なる思惑がある様子です。 女性の側は北部から南部に移ってきた奴隷制に反対の親から生まれ、黒人の地位の向上のために働いていて、黒…

蛍の飛来と犬の鳴き声

『八月の光』の今日読んだ箇所では、ある登場人物が自分の祖父と父と兄に過去にあったことを話す場面がありました。 祖父と兄は同じ人に殺されたようです。 その話は、暗い部屋の中でされています。話を聞いている側の人物が質問をしたりして会話になってい…

過去にさかのぼっての記述

『八月の光』を読み進め、ある事件を起こしたと思われる登場人物の幼かった時期から少年時代、それから大人になってからあったことについての記述に続いて、その事件があった頃の場面に近づいてきました。 この人物が人を殴ったり人から殴られたり、馬に乗っ…

建国記念の日

今日は建国記念の日でお休みでした。 昨日、ある証券会社のウェブサイトで予定表を見ると、今日のことが建国記念日と書かれていました。「の」一文字の違いですが、意味のある違いですので、正しい記載をしてもらいたいと思います。日本には史実に基づいて確…

良いものを良いものとして受け止められる感覚

『八月の光』の最近読んでいる箇所では、冒頭からしばらく進んでから登場した人物を中心に話が展開しています。 孤児院から養子として連れて来られた家で、養父の期待するような振る舞いをしないことから厳しい取扱いをされますがら、養母は優しく接してくれ…

孤児院での生活と養子としての生活

今日は『八月の光』のある登場人物の孤児院での生活が終わるあたりの記述を読みました。 ある人の見られたくないところを見てしまったために追い出そうとされたり、ほかの人から連れ出されてまた戻されたり、といったことの後で、養子として連れて行ってくれ…

難しい生い立ち

『八月の光』の今日読んだ箇所では、昨日触れた事件が起こる前の時間の様子についての記述がありました。それから、その事件に関わった登場人物の幼い頃のことであると思われる話にさかのぼります。 その人物は黒人と白人の混血であることで差別を受けている…

大きめの事件

『八月の光』を読み進めていたら、それまでと比べると大きな事件が起こったように描かれています。事件が直接記述されているのではなく、登場人物の一人が伝え聞いたことをほかの人に話すことによって描写されています。そして、その話をしている人物自身の…

中学受験の2月

今日は本とは別の話題にします。 今週の月曜日、2月1日は東京都内の多くの私立中学校で入学試験が行われたと思います。このブログの主の勤め先の近所にも私立中学校があります。以前、試験の当日の朝に、受験生を連れたお父さんと思われる人に学校への道を…

今の苦しみと後の苦しみ

田舎町の元牧師が、『八月の光』の今日読んだ箇所の中心でした。 この人は家庭内の問題で牧師であり続けることができなくなりました。そして、町から出ていくだろうと思われていながらその町に住み続けています。小さな町であることから、まわりは自分に何が…

探されている男性に名前が似ている男性

『八月の光』の今日読んだ箇所は、最初に焦点が当てられていた、旅をする女性がしばらく登場せず、その女性が探している男性に少し名前が似ている人物の周辺で話が展開していました。 旅をする女性の話とはまた別におもしろ読める記述でしたが、読んでいるう…

フォークナー『八月の光』

フォークナーの『八月の光』を読み始めました。 新潮文庫に収録されている加島祥造氏の訳によるものを読んでいます。 お腹に子を宿している女性がその子の父親を探して長い距離を旅しているところから話が始まっています。以前読んだ『果てしなき日々』とい…

『桜の園』を読み終えました

『桜の園』を読み終えました。 新しい展開があるかと思っていたら、意外にあっさりした終わり方でした。一箇所に集まった登場人物たちの新しい出発のようなところで幕を閉じます。年老いた者、若い者、上り坂の者、下り坂の者、それぞれがそれぞれの道に進み…

革命前のロシア

『桜の園』は革命の前のロシアが舞台です。 当時のロシアにおける生まれの違いによる経済的な格差がどの程度であったかについて知識がありませんが、大きいものがあったと思います。この作品でも主人公の言葉を通して格差への言及があります。 その反面、低…

危機の原因

『桜の園』を読み進めて第2幕に入りました。 主人公が金銭の面で危機にあるのは外側で起きたことが原因というよりも自らが招いたことであることがわかってきました。そうであっても子どもたちや使用人からは支えようとしてもらえているようですので、人から…

ロシアの桜

桜の花といえば日本人にとっては特別な花ですが、ロシアではどういうとらえ方をされているのでしょうか。注によると、ロシアの桜は日本のものと違って色が白いようです。といっても、関東の桜は白いと考える人がいるようですが、このブログの主は関東の人間…

チェーホフ『桜の園』

チェーホフの『桜の園』を読み始めました。岩波文庫に収録されている小野理子氏の訳によるものを読んでいます。 演劇で上演されることがあるという印象がありましたが、題名を知っていても、原作が戯曲であることさえ知りませんでした。 日本語で演じるとき…

『マルテの手記』を読み終えました

『マルテの手記』を読み終えました。 いくつか良い意味で気になる記述がありましたが、全体としてこのブログの主にはわかりづらく、良い印象は持てていません。自分は単純な方だと思いますが、読み取れる人にはそういう者には理解できないようなことが受け止…

放蕩息子のたとえについての解釈

『マルテの手記』の今日読んだ箇所には、聖書に出てくる放蕩息子のたとえについての解釈が記されていました。 想像によってかなり大きく話が広がっていると思います。その解釈を読んでピンとくるものはありませんが、話の展開のさせ方に作家としての想像力の…

親愛王または狂気王

『マルテの手記』の今日読んだ箇所では、シャルル6世というフランスの王の話が出てきます。 この人のことを少し調べてみました。遺伝によると言われる精神異常があったようですが、民衆から愛されてもいたようで、親愛王とも狂気王とも称されているというこ…

ゲーテと少女の往復書簡

『マルテの手記』でまた、有名なのかもしれないけれども聞いたことがなかったことを知りました。 今回は、ゲーテと少女との往復書簡についてです。ベッティーネと名乗った相手の女性が書簡をもとにした小説を著してかなり読まれたようです。一般的には『ゲー…

隣人たち

『マルテの手記』に、一人暮らしをしている主人公の隣人たちが取り上げられている記述があります。 主人公は直接には接していないながらも、隣人が変わった行動をしていることは伝わってきている、という取扱いになっています。関係がある人の行動となると影…