3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

comme il faut

 comme il fautという言葉にはなじみはありませんでしたが、「紳士らしい」といった意味のフランス語であるようです。『青年時代』の主人公はそのようになろうとしていたようで、そのことに一章を割いていて、その観念を害悪として描いています。

 どういう人がcomme il fautであるかというと、上手なフランス語だったり、ダンスがうまいことだったり、あらゆるものへの無関心や倦怠の表情だったり、というのが条件だったようです。洗練されているように見える、ということでしょうか。自然にはそうでないので背伸びをしてそのようになろうとしていた様子と、そうでない人たちを軽蔑していたことが描かれています。

 主人公が目指していたように善行に努めることと人を見下すこととは、心の深いところでは共存できないと思いますが、表面的に紳士らしくあろうとすることは、心のもっと浅いところでその二つを両立させてしまうのかもしれません。

 このブログの主も紳士らしいのは好きな方ですので、落とし穴にはまらないように気をつけたいと思います。