ヘッセ『車輪の下で』
今日、ヘッセの『車輪の下で』を読み始めました。
日本語訳の題名は『車輪の下』とされることが多いと思いますが、松永美穂氏の訳で光文社古典新訳文庫に収められているものは『車輪の下で』という題名になっています。それを読んでいることから、ここでもその題名を踏襲します。
ヘッセの作品を読むのは初めてです。
これは自伝的な作品であるようです。冒頭でいきなり主人公の父親がいかにつまらない人であるかが描写されていて、ヘッセの父親は実際にそういう人だったのだろうかと考えさせられます。
主人公は、学業に優れ、身体が華奢な人として描かれています。華奢といっても、川で泳ぐ程度の運動はできる人です。
話は主人公が神学校を受験するところから始まります。合格すれば将来の生活の安定を手に入れられそうな試験であり、その準備のためにしばらく遊びを捨てて勉強に取り組んでいたようです。
近所の知り合いの職人で親身になって主人公を力づけてくれる人がいるかと思えば、牧師でありながら信仰に熱心でなく主人公の心の状態に無関心な人もいます。そんな環境で神学校への進学を目指すのは気の毒なように思います。