学校教育の目的
『車輪の下で』の主人公は、周囲の大人からさまざまな影響を受けています。
今日読んだ中で印象に残ったのは、主人公が通っていた学校の校長です。この人にとって学校は、自然の人間を砕き、打ち負かして、力で制限を加えなければならないものであるとされています。国から承認された理想を少年に植えつけることが自らの義務であると考えているように描かれています。
人の個性をつぶして、国の構成員として都合が良い国民をつくる、といったところでしょうか。ここでは、そのような考え方を批判的にとらえて記述しているのだと思います。この考え方が当時のドイツにおける共通の認識だったかどうかはわかりませんが、ドイツらしいと感じました。日本も似ていると思います。
その校長は主人公の地元である田舎の学校の校長ですが、これまで読み進めた範囲では、さまざまな町から生徒が集まってくる主人公の進学先にも同じような様子がありそうです。
話は変わりますが、昨日触れた信仰に熱心でない牧師は新しい思想に強い関心を持っているようで、主人公はこの人からの刺激を好意的に受け止め、自らの考え方との摩擦は感じなかったようです。