3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

思い出の場所

 『車輪の下で』の主人公は訳があって実家に帰ります。

 生まれ育った町で日々を過ごす中で昔の思い出がよみがえってきます。思い出の場所やそこでの経験についての記述があり、主人公にもそういう時期があったのだということが巧みに描かれています。

 家の近所の、貧しい人たちの住む暗い地域での経験は、不気味ながらも心を惹かれるものだったようで、そこに行って刺激を受けていた頃には主人公はもっと生き生きしていたと思われます。それを満喫することができないうちに学業中心に進路が向いたことが益にはならなかったのですが、だからといってずっと遊んでいるのが良かったともいえないと思います。

 遊びと学業の適度なバランスは人によって違うのでしょうから、画一的に押しつけるのではなく、ひとりひとりに合わせて機会を与えることが大切であると考えます。