3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

リンゴの果汁搾り

 『車輪の下で』に、主人公の住んでいる町で住民たちがリンゴの果汁を搾るところが描かれています。

 圧搾場で圧搾機を借りて持ち込んだリンゴを搾るようですが、そこに知り合いの子どもを招待したりして、人々の交流の場になっています。集まる人たちの楽しそうな様子が魅力的な場面でした。こういうことがある地域では、互いの顔が見える共同体の中で、子どもたちが親以外の大人からも影響を受けて育っていくのだろうと思います。反面、人々から悪い印象を持たれるとその社会の中では窮屈になってしまうこともありそうです。そういうことがいずれも少ないような関係が希薄な社会と、どちらがより優れているということはないのでしょうが、いま身近にはない、ここに描かれていたような共同体に心を惹かれる思いがあります。