3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

南への移動

 『大地』の主人公は家族とともに、飢饉に見舞われている生まれ育った地を後にして南に移動します。

 かなり遠くまで行くのかと思えば、汽車での100マイル位の移動によって、食べるものを見つけることには問題がない大都市に着くことができました。

 人力車を引いて収入を得ながらも、家族は物乞いをするような状態で、生活は引き続き困難です。それでも、お金は手に入り、お金があれば食べ物は買える、という状況ですので、命の危険からは遠ざかりました。

 主人公はそこで初めて、社会の変革を訴える人の話を聞いたり、外国人を見たりします。移動することで、食べていくことができるだけでなく、世の中に向けて目が開かれることにもなりました。ここまでは、リスクを冒したことが、最低限のもの以上のものをもたらしてくれたということのように思われます。

 必要な場合にはリスクを冒していけるような心を常に持っていたいと思います。