3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

親子の間の距離

 『大地』の主人公は経済的に豊かになって、いわゆる成功者になったと思います。そして、自分が豊かになって終わりではなく、子どもたちを自分の能力を用いて生活の糧を得られる道に進ませてもいます。当時はそれが習慣だったのでしょうが、子どもたちの結婚の世話もしました。

 そうやって面倒を見ているのですが、父親として、子どもたちとの関係が希薄だという印象を受けます。現代の日本の多くの父親のように、働く場が住まいから離れているわけではなく親子の空間的な距離は近いと思われるのですが、心の距離が遠そうです。貧しかったときも、豊かになる過程でも、働くことで精一杯だったということでしょうか。

 現代の日本では父親と子どもの関係は希薄であると思いますが、それは特異なことではなくてほかの時代のほかの場所とそれほど変わらないのかもしれません。