非情さを欠いた野心家
『大地』の、二世代目が中心の箇所では、故郷を離れて軍隊を率いている三男についての記述が多くなっています。戦争をしたりして動きが激しく、事件が多くなっています。
この三男は個人的な野心が大きい反面、ほかの人の苦しみについて平気でいることもできません。ここに描かれている時代には、勝利を収めた軍隊の兵士たちは征服した地の人たちから掠奪するのが当たり前だったようで、それをさせない指導者には人がついてこないということから、勝ち戦の後、不本意ながらも時間を限定して掠奪を許します。
正義感から戦争の中に身を投じたのだと思いますが、大きなことを成し遂げる過程で悩みが増していきそうです。吹っ切れて非情になりきれるようになったら読んでいて残念に感じると思いますが、どうなっていくでしょうか。