3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

祖母の面影

 『大地』の二世代目の人たちも年を重ね、その子の世代が大きくなってきました。

 三世代目の1人について、父親が見ていて自分の母親を思い出す場面が印象に残りました。母親とはつまり、第一部の主人公の正妻です。

 この女性は、親に売られてお金持ちの家で奴隷として働き、そこから貧しい農家に嫁としてもらわれました。黙々と夫と義父に仕え、子どもを産む直前と直後も畑に出て働き、夫が経済的に豊かになっても楽しく生活できるようになりはしませんでした。

 孫にその面影があるという記述に触れて、目立たずに人のために尽くしたような人がただ忘れ去られるのでなく思い出されたことに心が慰められた気がします。