大都市での新しい経験
『大地』の三世代目の人たちは数人が大都市にいて互いに交流があります。その中心として描かれている人物は、たくさんの新しい経験をしています。
異母妹に連れられてダンスをしに行ったり、血のつながっていない母親の悩みを聞いて助けになろうとして行動したり、いとこから革命の運動に誘われたり、学校の農業の実習をする中で農夫と仲良くなったり、それぞれがおもしろい記述です。
そのような中で、この人がどの集団にも所属しきれないような様子であるような感じを受けます。経済的に豊かな人たちと一緒に遊びはしてもほかの人たちのように貧しい人たちを見下げるようなことはしませんし、貧富の格差に心を痛めはしても革命の運動に誘ってきたいとこのように豊かな人たちがただ悪であるとは考えません。
物事には一つより多くの側面がありますので、すぐに目につくところのみで判断しないのは良いことだと思います。この人は自然に憧れを抱いていて、農耕をすることに充実感を感じているようですが、自然のねじ曲がっていないところが人間よりも接しやすいのかもしれません。