3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

重荷になる結婚

 『谷間のゆり』の主人公が近づこうとしている、夫と子どものいる女性は、さまざまな苦難を経験してきていることがわかってきました。

 この女性も夫も、ともに貴族の家庭に生まれ、家柄が釣り合うということで結婚したようです。世の中が平穏なときならばそれで何事もなかったのかもしれませんが、元々はしっかりした人だった夫は、結婚したときには革命とその後の情勢の中で心と身体に大きなダメージを受けていました。恋愛感情がない夫婦生活だと思われ、特に妻の側には重荷になったようです。

 こういう不幸な境遇に身を置いた女性はこれまでに数多くいたのだと思います。現代の日本もそうですが、選択の自由が大きくなる中で、結婚しないことを選んだり、するにしても相手をゆっくり選ぼうとしたりする女性が増えるのは自然の成り行きであると考えます。