3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

子どもに戻ること

 『谷間のゆり』の今日読んだ箇所では、ある人物がかなり衰弱した状態で登場します。

 その人は、それまでの成熟した態度ではなく、子どものように感情のおもむくままに振る舞っているように描かれています。身体的な弱さが精神面の自制の減退につながったとか、死を意識することが慎みを捨て去らせたとか、さまざまな可能性を想像することができると考えます。特に、長い間にわたって神経を張りつめさせて生きてきた人にとっては、その緊張の糸が切れることは子どもに戻ることにつながっておかしくない気がします。大人としての理性で抑えてきた子どものような感情は、現れ方によってはショックを感じさせるようなものになるとも思います。