3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

主人公への手紙

 これまで読んできた『谷間のゆり』も終わりに近づいてきました。

 主人公は重要な登場人物と別れることになりました。その別れの前に手紙を受け取っていて、その内容がすべて書き記されています。最近読んだ『狭き門』でも、主人公が受け取る手紙が効果的に使われていました。日本の小説で主人公が受け取る手紙の内容が取り上げられているものとしては、夏目漱石の『こころ』を思い出しました。『こころ』の場合は手紙が相当の長さになりますので、そのあたりは異なります。

 この手紙を書いた登場人物にとっては、人生は難しいものだったようです。他人の幸福が、自分はもう幸福になれない人間にとって何よりの慰めである、というようなことを言ったと記されているのが印象に残りました。