『谷間のゆり』を読み終えました
『谷間のゆり』を読み終えました。
主人公と、その心を寄せた女性との関係は、ハッピーエンドにはなり得ないものだったと思います。だからといって、出会わない方が2人にとって良かったかというとそうではないと考えます。現実の生活の中でも、最後についてはもっと良い終わり方があるにしても、その関係によってそれぞれが支えられ、知り合わないよりもずっと互いにとって益になることが多かった、というようなことはあると思います。
この作品はほぼすべてが主人公によるある人への手紙という記述になっていますが、最後にそれに対する返信が続いていたことは意外でした。後で見てみると、はじめのあたりにつけられている注にそういう結末になることがわかるようなことが書かれていましたが、それを最初に読んだときにはそのように受け止めていませんでした。結末を知りながら読むよりも楽しめたように思いますが、注を読み取る力の足りなさを感じもします。
明日からはリルケの『マルテの手記』を読む予定です。