手記という形式
今日読んだ箇所には手紙のようになっている記述があり、そこから『マルテの手記』という題名について考えることができました。
元の題名で使われているAufzeitnungenは、手記とか記録とか手控えと訳されるドイツ語の言葉です。体験や感想を書き記すものとして、手記は、人に伝えることを目的としない文章になる場合があると思います。この作品は手記という形式をとることによって、主人公が自分の身の回りに起きたことも心や頭の中のことも一緒にして記しているような記述になっているのだと考えます。現実にはなさそうなことが起きたかのような記述も、必ずしも主人公が実際に経験したことでなく心で感じたり頭で考えたりしたことだと考えれば、受け止めやすくなりました。