『マルテの手記』の主人公は人と近い関係を築くことに苦労していたようですが、母親との関係は近かったように思われます。
残念ながらそれほど年齢を重ねないうちに亡くなったと思われる母親のことを親しみをこめてママンと呼んでいます。父親についてはそういう表記になっていませんので、距離の違いを感じます。声をかけてもらって一緒に雪のようなレースを見たことの回想などから、母親からの愛を感じていた様子が伝わってきます。この作品から淋しさや痛みが伝わってくるのは、主人公にとって自分を大事にしてくれた母親がもういないことからくるのでしょうか。