良いものを良いものとして受け止められる感覚
『八月の光』の最近読んでいる箇所では、冒頭からしばらく進んでから登場した人物を中心に話が展開しています。
孤児院から養子として連れて来られた家で、養父の期待するような振る舞いをしないことから厳しい取扱いをされますがら、養母は優しく接してくれた様子です。ところが、この人物にとってはそういう接し方がありがたくなかったようです。孤児院で育つ中で、厳しくされることはあっても優しくされることがなかったことで、優しくされても落ち着かないというかしっくり来ないようになってしまっているように思われます。
傷つくようなことでも、慣れるとそれが自然の状態であると感じたり、適切に受け取れれば心地良いことでも、それまでに培われてきた感覚にとって異質であることによって受け入れづらくなってしまったり、ということは実際にあると思います。
子どもにとって身近な大人には、良いものを良いものとして受け止められるように子どもの感覚が育つことを助ける責任があると考えます。