3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

『八月の光』を読み終えました

 『八月の光』を読み終えました。

 冒頭で主として焦点が当てられていた人物がそのまま中心になって話が進んでいくのではなく、読み始めたときに思ったのとはかなり違う展開でした。

 途中から中心として描かれていたのは、生まれたときから不利な条件を負っていた人物でした。自らが傷つき、人を傷つける生き方には心が痛みます。最後のあたりで、新たに登場するある人物がこの人と接する場面があります。自らは権威のある側にいて、その権威を行使する資格を与えられているかのように振る舞う人物です。悪事を働くことは良くありませんが、悪事を働く原因になる弱さを人が克服できるように前もって手を貸すことなく、悪事があってから登場してその悪事を働いた人に裁きを下す、というのは立派なことではないと思います。悪事を未然に防ぐような働きかけをすることの方がはるかに価値があると考えます。現実には、共同体の中で、自分は人に助けを与えずに最後の結果のところにだけ関わって権威を行使したがる人がいる気がします。権威を行使したければすれば良いのですが、力があるならばもっと早く関わって助けを与えれば良いと思います。

 小さな町を中心にして描かれていて空間的な範囲は狭いのですが、前の世代、その前の世代へとさかのぼる記述があって時間的には範囲の広い大作でした。

 明日からはミッチェルの『風と共に去りぬ』を読む予定です。