『ジャン・クリストフ』の主人公であるクリストフは、ローマに留まる中でそこにある良いものに対して目が開かれてきたようです。
とても豊かな歴史のある街であることから、何かは心に触れるのが当然である気がします。そうはいっても、この作品の背景となった時代のローマは芸術家にとって同時代の仲間から受けられる刺激には乏しかったように描かれています。
才能にあふれた人がなぜか集中する時期と場所も、そういう人がなぜか少なくなる時期と場所も、いずれも実際にあるのだと思います。やや沈滞気味のローマをあえて取り上げて主人公を滞在させたところが興味深いと思います。