海に出ること
『白鯨』は「わたし」による一人称の語りの形式で記述されています。読んだことがなくても名前は知っている重要な人物が出てくると思いますので、この語り手が主人公であると判断することはできません。
語り手が船に乗って海に出ようとするところから話が始まります。客としてではなく乗組員としてだと思います。この作品の背景となっている時代には、現在よりも船旅には危険が伴ったと想像します。そうであっても、船に乗り込んで働くことは、たとえば人生をリセットしたいと考えている人にとってチャンスに見えたのではないかと思います。どういう日々が語り手を待ち受けているでしょうか。