『青年時代』を読み終えました
今日、『青年時代』を読み終えました。
結末に向けて、主人公の心や考え方に大きな影響を与えるような出来事が続けて起こる様が描かれていました。
試験に向けての勉強のために同級生と集まる中で、自分よりも身分が低い、そして、comme il faut(紳士らしい)でない人たちの能力の高さや知識の豊富さ、また、その人たち同士の関係に衝撃を受けたようです。
続いて、その後で起きたこととそれに対する主人公の反応についての描写があってこの小説は幕が閉じられます。
心が揺り動かされるような経験をした後で、適切なことを考え、それを実行したからこそ、その後のトルストイの人生があったのだろう、と思わせてくれるような結末でした。
『幼年時代』、『少年時代』、『青年時代』のいわゆる自伝三部作は、トルストイがどのような経験を通してその思想を形成していったかを良く教えてくれていると思います。また、どの程度が事実でどの程度が創作であるのかはわかりませんが、人物や風景が詳細に描写されていることも印象に残りました。
これらの自伝三部作は、岩波文庫や新潮文庫でも発行されているようですが、今回は北御門二郎氏の訳による講談社から発行されたものを読みました。