3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

戦争が奪うものと与えるもの

『誰がために鐘は鳴る』を読み進めるにつれて、登場人物の過去が少しずつわかってきました。 内戦の前の楽しかった思い出や内戦の最中のつらい経験が語られます。 それとともに、グループの中での主導権争いや恋愛が展開していきます。 勝手に持っているイメ…

興味深いキャラクター

今日読んだ箇所では、主人公がほかの登場人物たちとゆっくりめに話している場面がありました。 そのうちの一人は既婚の女性で、外見の面では魅力が乏しそうで、きつい性格のためか夫以外の複数の男性から悪く言われていました。ところが、飾らずに話をする中…

男女の登場人物

『誰がために鐘は鳴る』を読み始めながらも、うまく時間が取れずに少しずつしか読めていませんでしたが、今日やっと2章目に入りました。 しばらく登場人物は男性しかいませんでしたが、女性も登場し始めました。予備知識をほとんど持たずに読んでいますが、…

山本昌投手の引退

少し前にもありましたが、今日は本とは別の話題について書きたいと思います。中日ドラゴンズの山本昌投手の引退についてです。 このブログの主は東京の郊外出身ですが、出身地とは関係なく中日ドラゴンズのファンです。山本昌投手も特に好きな選手の一人です…

ヘミングウェイ『誰がために鐘は鳴る』

トルストイの自伝三部作の次は、ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』を読むことにしました。新潮文庫(新潮社)に収められている大久保康雄氏の訳によるものを読み始めました。 ヘミングウェイについては、かつて、新潮文庫で出ていた短編集を1冊か2冊…

『青年時代』を読み終えました

今日、『青年時代』を読み終えました。 結末に向けて、主人公の心や考え方に大きな影響を与えるような出来事が続けて起こる様が描かれていました。 試験に向けての勉強のために同級生と集まる中で、自分よりも身分が低い、そして、comme il faut(紳士らしい…

大学生としての日々

大学生になったということで主人公が新しい交流の場に顔を出す様子が『青年時代』の終わり近くで描かれています。舞踏会に参加して社交界にデビューしたり、クラスにいる別の貴族の家庭で開かれたクラスの一部の人だけが招かれる集まり(同級会)に参加した…

トルストイ自伝三部作(『幼年時代』『少年時代』『青年時代』)について

『青年時代』をもうすぐ読み終わりそうなこのタイミングで、これまで読んできた『幼年時代』、『少年時代』、『青年時代』というトルストイのいわゆる自伝三部作について簡単にまとめておきたいと思います。 それぞれ、1828年生まれのレフ・トルストイが…

大学入学

今日読んだ箇所では、主人公が大学に入学してからの様子が描かれています。 当時のロシアでは皆がそうだったのか、トルストイが特にそうだったのかはわかりませんが、一緒に入学した人たちを社会的地位のようなもので最初から分けて見ていたことが記されてい…

「青年時代」という章

『少年時代』にも同様の章がありましたが、『青年時代』にも小説自体の題名と同じ「青年時代」という題のついた章があります。 その章では、大学に入学する前の時期を田舎で過ごしていたときの、自然の中での生活が描かれています。そばには家族と使用人だけ…

comme il faut

comme il fautという言葉にはなじみはありませんでしたが、「紳士らしい」といった意味のフランス語であるようです。『青年時代』の主人公はそのようになろうとしていたようで、そのことに一章を割いていて、その観念を害悪として描いています。 どういう人…

深夜の語り、父と子の関係

今日読んだ箇所でも、主人公が親友の別荘に滞在していたときの様子が続けて描かれています。 トルストイの自伝三部作を読む中で、これまでこのブログにも書いてきましたが、現代の日本というか自分の生活との違いに注意を引かれてきました。今日は、自分の経…

三つの愛

『青年時代』には、「愛」と題する章があって、三つの種類の愛について述べられています。その三つとは、 ・美的な愛 ・献身的な愛 ・実践的な愛 です。 ある登場人物の実践的な愛について触れる中で、これら三種類の愛についてそれぞれ主人公が思うところを…

友だちの友だちは・・・

親戚への挨拶回りを終えた主人公は、親友に連れられてその親友の別荘に行きます。 そこで親友の母をはじめ4人の女性と出会うのですが、そのうちの1人である親友の叔母が、自分たちの友だちの友だちは、自分たちの友だちである、というようなことを言ってい…

不言実行?

昨日に続いて、大学入学を前に挨拶回りをした様子が描かれた箇所を読みました。 あることがきっかけで主人公は一つの訪問先で居心地の悪い思いをして、それを親友に話したところ、人からどう思われるかは気にするな、というような助言をもらいます。その経験…

挨拶回り

昨日に引き続いて、『青年時代』から主人公の大学進学を控えた日々の行動についての記述を読みました。 これも家柄の故でしょうが、親戚へ挨拶回りをすることを父親に指示されたそうです。このブログの主は親戚づきあいがあまり多くない家庭で育ちましたので…

一人前

今日読んだ箇所では、主人公が大学への進学を控えて、一人前になったかのように振る舞っている姿が描かれています。 見栄えの良い制服を仕立てたり、父親から馬車と馬と御者を使うことを許されたり、絵を買いに行ったり、パイプを買って喫煙を試してみたり、…

昔のロシアの大学受験

今日は大学受験の描写を読みました。 トルストイが描いたロシアでの試験は、現代の日本で行われているものとかなり異なっていたようです。『青年時代』に書かれている範囲では、口述試験のみだったように見受けられます。 問題が書かれた紙を取って、そこに…

相反する思い

トルストイが若い頃の自分として描いている主人公は、今日読んだ箇所でも、引き続き善行に取り組んでいます。 いわゆる懺悔をした後で、そのときに話さなかったことを思い出し、手間をかけてまで改めて懺悔をし直したことは、自分の人生を清くすることに関す…

善行についてくる罠

『青年時代』の記述によると、トルストイは少年時代と青年時代の間のあるとき善行をしようと思い立ったら、実際にすることができたようです。まだ十代で豊かな生活をしていて責任が特になかったために、比較的容易だったのかもしれません。 自分の温和さや善…

幼稚な空想

今日読んだ箇所では、思索する中で善良になろうとして将来のことを空想している様子が描かれています。立派なことをしようと考えていながらも人間としての欲望が混ざってきているところが正直に述べられています。 その記述の後で、青年時代の空想が幼年時代…

トルストイ『青年時代』

今日、トルストイの『青年時代』を読み始めました。 冒頭の記述によると、親友と話す中でよく口にした善徳の思想を人生に適用したいと思うようになった時期を青年時代の始まりと考えているようです。それが間もなく満16歳になる頃のことだそうで、思ってい…

『少年時代』を読み終えました

トルストイの自伝三部作の真ん中の『少年時代』は、形而上学的な事柄について真剣な議論をすることができる友人を得るところで終わりました。その関係は続きの『青年時代』にも登場すると思いますが、トルストイの思想に大きな影響を与えたことでしょう。 臆…

何を重要視するか

『少年時代』もかなり終わりに近づいてきました。 少し前のところでは学業で苦労していて、そのために苦い経験をしたにもかかわらず、今日読んだ箇所によると、その後、成績優秀になったようです。このことに関する記述がまたあっさりしていて、何事もなかっ…

「少年時代」という章

小説全体の題名と同じ「少年時代」という題名がついた章がありました。そこでは、孤独の中でどのような思索をしていたかが述べられています。かなり苦悩した様子です。勝手な想像ですが、現代よりもすることが少なく、物事を考え始めるとどんどん思索に沈み…

孤独の効用

『少年時代』の今日読んだ箇所では、主人公が孤立を深めていきます。孤独裡の思索と観察が主な喜びとなって行った、というような記述がありました。その思索と観察が作家トルストイを生んだと考えると、孤独には効用があると思います。 孤立を深める理由の一…

戦争の影

『少年時代』はトルストイの自伝のような記述になっていますが、今日読んだところでは登場人物の一人が語る形でその人が経験した(と言っている)話が挿入されています。戦争がその人の人生に大きな影響を及ぼしています。 日本は最後の戦争を経験してから7…

見知らぬ多数の人たち

昨日、半端なところで読むのを中断していたので、幼年時代から少年時代へ移ったことを意識した箇所の続きから読みました。 自分のことを知らず、自分に対して無関心な人たちの存在に気づいたような描写があります。そういった経験を通して、世の中が思ってい…

トルストイ『少年時代』

『幼年時代』に続いてトルストイの『少年時代』を図書館で借りて読み始めました。 自分では意識していなかった裕福さや身分の違いを親しい人から聞いてそれに気づいたことを、幼年時代から少年時代へと移ったきっかけのように描写している箇所がありました。…

『幼年時代』を読み終えました

『幼年時代』を読み終えました。 全体を通して印象に残ったのは、トルストイの信仰に影響を与えたと思われる2人の人物でした。いずれも、社会的にはそれほど大きな力があったわけではなかったと思いますが、その信仰生活はトルストイにの心を動かし、トルス…