3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

賢くなる場

『魔の山』の主人公は、人間の心や身体のほかに、植物についても学んで知識を増していきます。そして、イタリア人のよくしゃべる患者から、必ずしも賛同してはいないまでも、思想の面で話を聞かせてもらってもいます。 サナトリウムは健康になるためのところ…

夏至

今年も夏至が来て、過ぎ去っていきました。 『魔の山』の中でも、夏至が来て過ぎ去りました。主人公が、夏至は頂点であり、そこからは下っていく、というようなことを言っていますが、同じように感じます。 昼が長く、朝早く起きるつもりがない時間に目覚め…

軍人志望の従兄

『魔の山』の主人公には、同じサナトリウムに滞在している軍人志望の従兄がいます。いるというか、その従兄が先に滞在していて、主人公は訪問者として会いに行く立場でした。 早く普通の生活に戻って軍隊に入って生活したいと思っていながら、1年以上の療養…

時間の過ぎ去り方

『魔の山』では、ところどころでかなりの長さの時間がすぐに過ぎ去っていきます。その反対に、ある一場面が詳しく描かれているところもあります。 これは小説の表現のしかたとして当然だと思います。しかしながら、この作品では何度か、時間の進み方について…

カーニヴァル

『魔の山』の主人公が滞在しているサナトリウムでは、その外と同じように季節のイベントがあります。単調になってしまいそうな療養生活に活気と区切りを与えてくれるだろうと思います。 今日読んだ箇所では、カーニヴァルの様子がかなり詳しく描かれていまし…

重病の人たち

『魔の山』の主人公は、重い症状の患者たちに花を贈ることを始めました。そうすると、花だけでは終わらずにその患者たちを訪ねて話をすることにもなりました。 会う人ごとに違う事情があり、それぞれの苦しみや痛みがあることが描かれています。主人公は、と…

人の心への関心

『魔の山』の主人公の関心は、生物についてだけではなく、人の心にも向けられるようになったようです。 亡くなった人のところに行って故人の身近な人にお悔やみの気持ちを伝えたり、病状の重い患者を力づけたり、といったことをし始めました。 生物への関心…

生物についての学び

『魔の山』の主人公は、生物についての学びに目覚めます。サナトリウムにいて時間があることもあって、本から学ぶ時間をゆっくり取れているようです。 かなりの長さで、生命の始まりや原子などについての主人公の学びの内容が記されています。このあたりは段…

carpe diem

『魔の山』の今日読んだ箇所に、"carpe diem"という言葉が出てきました。 これは、映画『いまを生きる』に出てきて、この日本語の題名に使われている言葉です。もともとは紀元前1世紀のホラティウスという詩人によって使われた表現だそうです。2000年以上も…

狭い共同体

『魔の山』の主人公は、同じサナトリウムに滞在しているある女性に心をひかれます。そして、それを隠そうとしません。相手もそれがわかっているようです。 主人公にとっては、その人に心をひかれるそれなりの理由があるのでしょうが、外部との間での人の入れ…

レントゲン写真の撮影

『魔の山』の今日読んだ箇所に、主人公がレントゲン写真を撮ってもらう場面がありました。 二十代で生まれて初めてのレントゲン写真のようです。自分の身体を透視することにちょっとした衝撃を受けている様子です。 自分がいつ初めてレントゲン写真を撮って…

滞在の延長

『魔の山』の主人公は3週間の予定でサナトリウムに来ていましたが、状況の変化があって滞在を延長することになりました。 けっこうなページ数の作品ですが、3週間と期間が決まっている割には、まだ全体の中でそれほど読んでいない時点でその3週間のうちの…

体温計の購入

『魔の山』の主人公は風邪をひいてしまい、それをきっかけに、サナトリウムの中でまた新たな経験をします。 それまでは直接の接触がなかった婦長という役職の人と話すことになり、そこで体温計を買わされるところの記述がおもしろいものでした。 ところで、…

自由を求める闘い

『魔の山』を読んできた中で目立つ人たちの一人にイタリア人の男性がいます。よくしゃべる人なので登場している時間が長くなっています。 この人物が自分の祖父について話す場面を読みました。権力がない側にいた人で、自由を求めて闘ったようです。話をして…

医師の病気

『魔の山』を読み進める中で、主人公が滞在しているサナトリウムにいる患者たちに加えて、そこで働いている医師のことも少しずつ明らかになってきています。 ある医師は、自らも病気になったがゆえにそのサナトリウムにい続けることになり、そのうちにそこで…

抑圧された愛の現れ方

『魔の山』で、主人公が滞在しているサナトリウムのある医師が講演をする場面を読みました。 この医師によると、抑圧された愛は病気という形をとって現れる、ということのようです。その話が、患者に対する精神分析のすすめにつながっていますが、この医師に…

病は気から?

『魔の山』の主人公は、貧血気味であるとはいえ病気ではないという状態でゆっくりするためにサナトリウムに滞在することになったのだと思いますが、滞在する中で体調が良くなくなっているように思われます。 横臥療法といって横になる時間を取っていますし、…

銃の所持

『魔の山』の今日読んだ箇所では、主人公が滞在しているサナトリウムの患者で、刃物や銃を持って人前に出る人が登場します。 話の舞台となっているスイスでは、一般の人による銃の所持が法律で認められているようです。それを初めて知りました。 療養のため…

ミャンマーの人口

今回は本ではない話題にします。 先日、ミャンマーのヤンゴンに行ってきました。ミャンマーに行くのは初めてでした。 プライベートではなく仕事で行ったので、一人で出歩く時間はあまりありませんでした。泊まっていたホテルのそばを朝のうちに少し歩いただ…

患者たち

『魔の山』はサナトリウムが舞台で、登場する人の多くは病気のためにそこにいる人たちです。 全くほかの人と話をしようとしない人もいれば、とてもよくしゃべる人もいます。饒舌な人の口を通して、そこにいる人たちやそこで起きていることが紹介されます。 …

自由な発想

今日は本ではない話題にします。 午後7時頃に外を歩いていました。歩いていると、近くにいた女の子が、「雲が鳥の形になってる」とお母さんらしき人に言っているのが聞こえました。見てみると、まだ青さが残る空に、明るいオレンジ色のような、ピンク色のよ…

ハンスという名前

『魔の山』の主人公はハンスという名前です。この前読んだ『車輪の下で』の主人公もハンスでした。ほかにも目にすることがある名前で、ドイツに多い名前なのだと思います。 この主人公はここまでのところ平凡な人のように描かれています。筆者は、主人公が変…

ハンブルグ

『魔の山』の主人公の生い立ちに関する記述を読み進める中で、また、知っていても良いようなことを知らなかったことがわかりました。 主人公の出身地であるハンブルグという町があることを知ってはいましたが、それが港町であることは知りませんでした。その…

主人公の生い立ち

サナトリウムに主人公が到着した場面が終わると、『魔の山』は主人公の生い立ちの紹介に移りました。 幼くして両親を亡くしたという設定は『ジェーン・エア』と同じですが、こちらの主人公は祖父とともに生活して、虐待はされていなかったようです。 現代ほ…

サナトリウム

『魔の山』の主人公は従兄に会いに行っていて、行き先はサナトリウムだとされています。 サナトリウムという言葉は見たことがありながら、その意味は知りませんでした。結核の療養所ということのようです。最近テレビで結核によって命を落とした人たちが紹介…

マン『魔の山』

今日、マンの『魔の山』を読み始めました。 岩波文庫に収録されている関泰祐氏と望月市恵氏の訳によるものを読んでいます。 主人公が旅をしているところから話が始まりますが、旅に関連して、空間は時間と同じように内的変化を生む、ということが述べられて…

『ジェーン・エア』を読み終えました

今日、『ジェーン・エア』を読み終えました。 昨日、長距離の移動があってそこでかなり読み進めることができたこともあり、結末までの急な展開をあまり日を分けずに読むことができて、より楽しむことができた気がします。 話ができ過ぎていると思う気持ちも…

心が望むこと

『ジェーン・エア』の結末に近いところまで読み進めました。 予想していなかった方向に展開し、さらに予想していなかった方向に話が進みました。そして、心を打たれました。 だれでもが、心の望むとおりに行動すれば良い結果を得られるというものではないと…

鋭い切り込み

『ジェーン・エア』の主人公は、苦労が多いにしても報いも感じられる仕事を紹介してもらい、生活をしっかりと立て直していきます。 飢えに苦しんでいるときに助けてくれて仕事の紹介もしてくれたきょうだいの妹たちと親しくなり、兄とも少しずつ関係が近くな…