3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「夢」

『イリアス』にカギカッコつきの「夢」が登場しました。 人間の形を取って寝ている人の枕もとに現れ、言葉を伝えます。後で、言葉を受けた人が正確にその言葉を繰り返していることから、とても強く伝わっているという設定であると考えます。。 夢の中で語り…

牛眼

『イリアス』を読んでいたら、女性の名前の枕詞として、「牛眼の」という言葉が出てきました。牛の眼のように美しい目をしている、というところから来たのだと思いますが、意外な表現です。 聖書の雅歌で、愛する女性に対して男性が、あなたの目は鳩のようだ…

枕詞

文学史について学んだときに、『イリアス』は叙事詩であると教わった記憶があります。 いま読んでいる訳は注が充実していますが、その中で、枕詞のようなものが説明されています。「光」の前にくる「ひさかたの」のような決まり文句があるようで、そういうと…

ホメロス『イリアス』

今日、ホメロスの『イリアス』を読み始めました。 岩波文庫に収録されている松平千秋氏の訳によるものを読んでいます。難解な作品かと思っていたら、訳のおかげか思っていたよりも読みやすいと感じています。それでも、時代背景をまったく知らなかったり、な…

『どん底』を読み終えました

今日、第4幕という最後の幕を読み、『どん底』を読み終えました。 高い理想を持って発言してきた登場人物による、人間はよりよきもののために生きている、解釈して言い換えれば、後の時代の人たちのよりよい生活のために生きている、というような発言が紹介…

人の入り乱れ

『どん底』の恐らく最後の幕の直前まで読み進めました。 それまでさまざまな方面から展開してきた事柄が一つのところにまとまってきて、そしてぶつかり、人が入り乱れて、それまで味方同士であったはずの人々の間に亀裂が入りもします。人の命に関わるような…

静寂

『どん底』の今日読んだ箇所では、静寂があることがト書きに示されているところが少し間を空けて続いていました。 ドアが音を立てて閉まった後の静寂と、登場人物が静かに立ち去った後の静寂ということで、相互に異なる入り方がそれぞれの静寂に別々の印象を…

真実

『どん底』の今日読んだ箇所では、登場人物たちが真実や嘘といったことについて話しています。 その中で、ある登場人物は、真実のつらさに圧倒されてしまったようです。この人物にとっての真実は、貧しいことだったり、生活がしづらいことだったり、といった…

夏至

今日は本とは違う話題にします。 今年も夏至が過ぎ去りました。昼が最も長い日が終わり、これから半年、日に日に昼が短くなっていきます。残念というか寂しい気がします。

登場人物たちの唄

『どん底』の中で、人々のセリフに混じって複数の登場人物が唄(いま読んでいる訳ではこの字が使われています)を歌っています。 歌われているのは、第一幕が始まる前に音符つきで紹介されている唄です。登場人物たちの多くに共通する思いを唄に乗せていると…

もの柔らかい人

『どん底』の第一幕を読み終えました。 第一幕の最後で、恵まれない境遇に生まれ育った登場人物が、ある人物のことを父親のような、もの柔らかい人だ、と言っています。それに対して、言われた人は、もまれすぎて柔らかくなったと答えています。そういう人は…

巡礼

『どん底』の今日読んだ箇所で気になる記述がありました。 巡礼として紹介されている登場人物が、巡礼であるかを問われて、地球の上にいるならば自分たちは皆、巡礼だ、と答えています。わかったような気がしてしまいましたが、少し考えました。 巡礼とは、…

貧しい生活

『どん底』を読み進め、登場人物たちの貧しい生活の様子が見えてきました。題名はこの人たちの状況を指しているのではないかと想像します。 職人として手に職を持っている人たちもその中にいます。これは、まじめに働いても貧しく暮らさざるを得ない庶民の様…

ゴーリキー『どん底』

ゴーリキーの『どん底』を読み始めました。岩波文庫に収録されている中村白葉氏の訳によるものを読んでいます。ゴーリキーの作品を読むのは初めてです。 どん底、とはかなり強い言葉が題名になっていると思いますが、どのようなことが起こるでしょうか。冒頭…

『テレーズ・デスケルウ』を読み終えました

『テレーズ・デスケルウ』を読み終えました。 主人公のテレーズが司祭から影響を受けていたようでしたので、カトリックの信仰という方向に話が進んでいくかと思いきや、そういうことではありませんでした。 既成の観念にとらえられている夫と自由な思想を持…

『テレーズ・デスケルウ』の主人公であるテレーズが涙を流す場面を読みました。 この人物が涙を流すのは珍しいと思いましたが、少し読み進めると、初めてであるように記されています。それまで一度もないというのは極端な気がしますが、泣くことがなさそうな…

『テレーズ・デスケルウ』の主人公のテレーズが夫と衝突した、というか一方的に主張を伝えられた場面を読みました。 一方的といっても、そうされる理由はあったと思います。 意外だったのが、夫の態度の動機が自分個人のことでなく家のことから来ていたこと…

孤独な聖職者

『テレーズ・デスケルウ』にある司祭が登場します。この人物は地域の住民からは厳しい評価を受けています。友人はいないようです。 あまり良い状態にある人物には見えませんが、主人公のテレーズにとっては、そのような人だからこそ自分の思いを理解してもら…

静寂

『テレーズ・デスケルウ』の主人公であるテレーズは、田舎に住んでいるので、静寂の中で生活してきていると思いますが、今日読んだ箇所では、普段よりも深い静寂に包まれている様子です。 ただ音がしないというよりも、心が通う相手がいないことによって感じ…

型にはまっていない人物

『テレーズ・デスケルウ』の主人公であるテレーズは、それまで人から評判を聞くだけだった男性と直接会って話します。 この人物が心をさらけ出して話すことが珍しかったようです。そして、テレーズ自身もまわりの人たちも、型にはまっているというか、ある一…

英国の総選挙

今回は本とは別の話題にします。 英国で総選挙が行われ、与党の保守党が過半数の議席を獲得できませんでした。労働党に追い上げられているという世論調査の情報どおりでした。 小選挙区の選挙で議席数が拮抗するのは意外な気がします。 去年の国民投票といい…

思いを映し出す鏡

新婚旅行から帰ってきた『テレーズ・デスケルウ』の主人公であるテレーズは、親しい友人の恋愛に関わることになります。 その友人と向き合う中でテレーズは、鏡を見たかのように、自らの思いに気づきます。自分と違う思いを友人の中に見たことがきっかけにな…

すれ違い

『テレーズ・デスケルウ』の今日読んだ箇所では、主人公の回想が続けていました。 結婚してすぐ、主人公と夫との間にすれ違いが生じていました。実際によくありそうですが、正面から向き合うことをしないことで、一緒にいながらも関係が成長しなくなっている…

回想

『テレーズ・デスケルウ』の記述は、主人公と同行者の動きに続いて、主人公による過去の回想へと進みます。 結婚する前のことを思い出していて、富裕な家庭に育ったことや、賢い人であることが情報として示されます。 そして、結婚以前の生活、特に友人との…

帰宅

『テレーズ・デスケルウ』の冒頭は、名前が題名になっている主人公が、ある事件に関して起訴されないことがわかって家に向かう場面です。 ほかの登場人物との間で、主人公が何をしたかを推測できるような会話が行われています。

モーリアック『テレーズ・デスケルウ』

今日、モーリアックの『テレーズ・デスケルウ』を読み始めました。 講談社文芸文庫に収録されている遠藤周作氏の訳によるものを読んでいます。 まず、名前が題名になっている主人公と2人の人物が登場します。会話は重たく、天候もどんよりとしていて、かなり…

『白鯨』を読み終えました

今日、『白鯨』を読み終えました。 最後は、簡潔な記述でモービィ・ディックとの闘いの様子が締めくくられました。細かいことに触れていないことで余韻を感じやすいように思います。 主人公が乗った捕鯨船の船長にとっては、できることをすべてしたというこ…

目標

『白鯨』を読み進め、かなり終わりに近づいてきました。 モービィ・ディックとの対決が続きます。主人公が乗った捕鯨船の船長はあきらめずに挑み続けます。それを止めようとする人物もいますが、この船長にとってはモービィ・ディックに復讐することが人生の…

リターンマッチ

『白鯨』の主人公が乗った捕鯨船は、船長の的確な指示により、再度目的とするモービィ・ディックと出会うことができました。 この頃には、乗組員たちも集団として興奮状態になっているようです。一体感はあるかもしれませんが、冷静な判断力を持てるでしょう…