3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ある暑い日

『テス』の今日読んだ箇所に、ある夏の日についての描写がありました。これが本当に暑そうでした。とてもうまく表現されていたと思います。 現代の東京の猛暑日ほど暑くないだろうと思いましたが、エアコンがない時代のことですから、どこに行っても暑いだろ…

誠実な男性

『テス』の主人公は、ある男性と両想いでありながら、訳あってその関係に積極的にならずにいます。 その男性に対しては、主人公の仕事の仲間たち3人も心を引かれていることが示されています。 男性の側はどうかというと、主人公に近づこうとしながらも一線は…

意図せぬ盗み聞き

『テス』の主人公は、牛の乳搾りをする仲間と同じ部屋で寝る生活をしています。ある日、ほかの人たちよりも早く床に着いたときに、後から着いた人たちの話し声を聞くことになりました。 同じ部屋で仲間たちと一緒に寝るという背景も、ある日に一人だけ早く床…

ハープ

『テス』の今日読んだ箇所に、ある男性が夕暮れにハープを演奏していて、それを主人公が聴いている場面がありました。 とても良い雰囲気だと思います。楽器も演奏も大したことはなかったようですし、演奏している人物はただ自分がしたいからしていた様子です…

一人ひとりの違い

『テス』の今日読んだ箇所でも、主人公が再会した人物を中心として話が展開しました。 聖職者の子として生まれて大人になってから農民の中に初めて入り込んだこの人物が、一言で農民といっても同じではなく一人ひとりは異なることを知ったというような場面が…

再会

『テス』を読み進めたところ、主人公が作品の冒頭で一度会った人物と再会する場面が出てきました。 そして、記述の中心がしばらくこの人物に移ります。聖職者の息子でありながら父親と異なる思想を持ち、父親が期待するように聖職者の道を選ばなかっただけで…

旅立ち

『テス』の主人公は、家族も承知の上で家を出て、生まれ育った地とは異なる地へと旅立ちます。温かく見送られてはいません。 それまでいた地では小規模な酪農が行われていたようですが、新しく住む地は同じ酪農でも実施している規模が大きいようです。細かい…

実体のある心の痛み

『テス』の主人公は、人からどう思われるかを気にしないようにし始めることができましたが、人目とは関係のない、実体のある心の痛みを経験します。 家族が力になってくれないばかりか、聖職者にも助けてもらえず、とても苦しい状態です。 一区切りついて、…

つかの間の思い出の種

『テス』の主人公は、人の目を気にして引きこもるような境遇になってしまいます。 その後しばらく経って主人公がまた表に出るようになったところに時期が移ります。自分がほかの人にとってつかの間の思い出の種にすぎないということに気づいたことで行動が変…

本音

『テス』の主人公は、家族に知らせることなしに、住み込みの仕事先から家に戻ります。 そうしようと決心する理由があったからですが、その理由を母親に話しても理解してはもらえませんでした。子をことを思う気持ちからその住み込みの仕事を勧めたと自ら思お…

衝突

『テス』の今日読んだ箇所では、主人公と近所の女性たちとの間で衝突が起きます。 その衝突の背景には、主人公が好きでもない男性を巡ってのねたみがあり、言いがかりといえそうです。そこから逃れようとしたことが、また別の災いにつながってしまうのが気の…

良くないことの暗示

『テス』の地の文は特徴的だと感じます。たとえば、登場人物がしたことだけではなく、気づかなかったことを記して、読者に本来はどうであった方が良かったかを示しています。 そういう記述を通して、登場人物の置かれた立場を知らせてくれていますが、良くな…

孤立

『テス』の主人公は、前回の記事に書いたとおり親の指図に従って行動しますが、そこで心地良くない経験をし、気の毒に思います。そうはいっても、何もかもが悪いということでもない様子もあります。 具体的には、住み込みで働き始めていて、働くといっても奴…

親の指図

『テス』の主人公は、自分の失敗によって家族に対して負い目を感じ、親からするように言われたことをすることになります。それは、ある人に会いに行くことでした。 会いに行った人には会えなかったもののその家族に会って話すことができました。歓迎されたよ…

マルサス

『テス』を読んでいたら、先日の記事にも記した主人公の家族構成に関する話がまた出てきました。 その中で、子どもがたくさんいて口が多くなっていることを指しているのだと思いますが、『人口論』を著したマルサスの名前が出てきました。少子化が問題になっ…

虫の食ってる星

『テス』の中に、主人公と弟が夜空を見ながら話す場面がありました。 主人公は、星をりんごの実になぞらえて、たいていはりっぱで無傷だけれど、虫の食ってるのも少しはある、としています。そして、自分たちがどの星に住んでいるかと問われて、虫の食ってる…

家族構成

『テス』を読み進めたところ、主人公の家族構成が紹介されました。 主人公が6人きょうだいで、末の子はまだ1歳であることがわかりました。豊かな家庭ではないようです。主人公と母親が会話する場面で、母親は方言だけで話すが、主人公は方言だけでなく学校…

主人公の登場

『テス』の今日読んだ箇所に、テスという名の女性が登場しました。題名になっているからには、この人物が主人公なのだと思います。 冒頭に登場した人物は主人公の父親であることがわかります。前にあった記述が伏線になって、この父親が主人公のそばに姿を現…

ハーディ『テス』

今日からハーディの『テス』を読み始めました。 ハーディの作品を読むのは初めてです。 原題には「ダーバヴィル家の」を意味する語が含まれていますが、日本での題名はその部分が省かれている場合が多いと考えます。 冒頭から、そのダーバヴィル家に関する記…

『マリー・アントワネット』を読み終えました

『マリー・アントワネット』を読み終えました。 晩年は、マリー・アントワネットの人生は下り坂を下り続けたような印象です。それとともに、矜持をもって行動するようになったというのでしょうか、振る舞いに一般人には多くは見られないようなものが現れてき…

茶番の裁判、そして最後の手紙

『マリー・アントワネット』を読み進め、結末に近づいてきました。 マリー・アントワネットを被告とする裁判の様子が描かれていますが、まさに茶番です。結果が決まっていて、聖書に記されているイエス・キリストの裁判と似ていると思います。 判決を受けた…

変化

『マリー・アントワネット』には、王妃であった日々から状況が次第に厳しくなっていく中でマリー・アントワネットが変わっていく様子が描かれています。 裁判にかけられ、事実でないことに関して訴えられます。そのような中で、革命裁判所での公判において毅…

中途半端

『マリー・アントワネット』には、権力を失ったマリー・アントワネットを助け出そうとする人たちが登場します。 そのうちの一人についての記述を今日読みました。この人は良かれと思って助けようとしますが、その行動に中途半端なところがあり、狙いが発覚し…

買収

『マリー・アントワネット』には、人々が買収されている様子が何度か記されています。 マリー・アントワネットを救い出そうという働きの中で行われていることから、買収されるのは革命によって新たに権力を持つようになった側です。立派な理念を掲げながら、…

抜け殻

『マリー・アントワネット』に描かれているマリー・アントワネットは、夫と死別し、息子との関係を絶たれてしまいました。 わずかばかりの女性の近親者たちだけとの生活を三十代後半で強いられることになります。食べていくことについての心配はないにしても…

理想と現実

『マリー・アントワネット』を読み進める中で、人間の美しいところと醜いところがマリー・アントワネットとの関係でよく表れているように思います。 昨日の記事で記したように本物の忠実さを示す人がいるかと思えば、人生の途中で手にした力をひどいしかたで…

忠実な人たち

『マリー・アントワネット』の今日読んだ箇所に、この作品の中では初めて出てきたと思うのですが、マリー・アントワネットに近づくことは自らの益にはならないであろうにもかかわらず敢えて近づいていく人物が登場しました。こういう人が本物の味方であると…

ルイ16世の処刑

『マリー・アントワネット』の今日読んだ箇所で、ルイ16世が処刑されました。 住んでいた宮殿が襲撃され、幽閉の身になり、王権が剥奪され、最後には処刑されるところまで、あれよあれよという間に進んでいってしまいました。 生かしておくと共和制を覆す恐…

ナポレオン

『マリー・アントワネット』に描かれているチュイルリー宮襲撃の場面を読みました。 ルイ16世とマリー・アントワネットの対照的な態度が印象的ですが、ナポレオンがこの事件の場にいたとされていることにも関心をひかれます。ただいただけではなく、そこでの…

「国民」や「国家主義」という概念

『マリー・アントワネット』の背景となっているフランス革命の時期の周辺国との関係では、国や国民というくくりよりも、共和制か君主制かが関心事であったようです。 「国民」や「国家主義」という概念はそれまでにはなく、フランス革命によってできた、とい…