3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

対照的な聖職者たち

『女の一生』にはときどき聖職者が出てきます。途中で交代しますが、前任と後任は対照的です。 一方は物分かりがいいというか、人の罪に対して甘い態度を持っています。もう一方は掟を重視して人の思いを気にしません。受け入れられやすい、受け入れられにく…

秘密

『女の一生』の主人公は、身近な人たちの秘密を続けて発見します。 ある人の秘密については、その人の良い思い出に触れた直後に知ることとなり、とても大きなショックを受けたと思います。 この主人公は、人を信頼することが難しくなるようなできごとをいく…

子どもの誕生

『女の一生』を読み進める中で、主人公に男の子が生まれました。 傷つき苦しんでいる主人公にとって子どもの誕生は喜びや慰めになっているようです。それ自体は良いのでしょうが、夫との関係で満たされていないことから、愛情を注ぐにしても不健全になりそう…

苦痛

『女の一生』の主人公は人生のピークを過ぎたどころか、大きな苦痛に見舞われます。 生活の現実のために苦しんでいるのではなく、普通によくある以上の痛みを経験しているように思います。そして、味方をしてくれるはずの人たちの力にならないさまがさらに望…

ピークを過ぎたという感覚

『女の一生』の主人公とその夫は新婚旅行から家に戻り、日常の生活が始まります。 将来もっと生活が良くなるという希望を持つことができず、主人公は悲しみに沈みます。それは思い込みではなく、一例を挙げるならば、主人公と夫との関係は相互に思いを知って…

新婚旅行

『女の一生』の主人公は夫と一緒に新婚旅行に行きます。 その旅行の中で、夫との間の親密さが増したり、夫に幻滅を感じたり、といったことが両方あるところに現実味があります。紳士的だった男性のだらしないところが結婚して見えるようになるというのはよく…

現実

『女の一生』の主人公は婚約した男性と結婚しす。ここから主人公は現実にぶつかります。それまでのようなただ喜んだり夢を見たりしていればいいというようなときとは違って、生活についてのプレッシャーがかかってきます。 結婚すれば通常ある夫との関係に対…

婚約

『女の一生』を読み進めると、主人公が婚約する場面になりました。かなり早い展開だと思いますが、主人公自身にとってもサプライズだったようです。 貴族同士のものであるためか近所の人たちもたくさん関わる中で結婚の約束が交わされます。フランスの大西洋…

恋の相手

『女の一生』を読み始めてまだ間もないのですが、早速、主人公の恋の相手らしき男性が登場しました。 この人物は、機知に富む話をしたり、移動しづらいところでは主人公を抱きかかえて移動したり、魅力的な姿を見せています。2人は両想いである様子です。 …

モーパッサン『女の一生』

モーパッサンの『女の一生』を読み始めました。 新潮文庫に収録されている新庄嘉章氏の訳によるものを読んでいます。 はじめのあたりは大きな事件らしいものはなく、主人公が家族と一緒にノルマンディ地方に移動して過ごし始めた様子が描かれています。貴族…

『南回帰線』を読み終えました

今日、『南回帰線』を読み終えました。 これまでも書いてきたとおり、とても苦戦しました。最近読んだ作品の中では時代が比較的現代に近いので読みやすいかと思っていたら、時代が進んで表現のしかたが新しくなったためか、このブログの主にとっては理解しづ…

題名と同じ言葉

いま読んでいる『南回帰線』もかなり終わりに近づいてきました。その中で、初めて文中に題名と同じ「南回帰線」という言葉が出てきました。 できごとではなく主人公の考えが記されているところで触れられています。芸術家らしい思索の中で出てくるのですが、…

芸術家

『南回帰線』を読んでいて、このブログの主には主人公の考えや思いがよくわかりません。その理由の一つは、主人公が芸術家だからではないかと今日読み進めながら考えました。 多くの人がして生活の糧を稼ぐような仕事についてもこの主人公にとってはうまくい…

背景にある動き

『南回帰線』を読み進める中で、ダダイズムに関する記述が出てきました。 ダダイズムもそれから発展したシュールレアリスムも言葉としては見たことがあっても意味は知らず、これを機会に少しだけGoogleで検索して調べてみました。すると、この作品の、このブ…

Android 7.0へのアップデート

今回は本以外の話題にします。 このブログの主が使っているNexus 5XにAndroid 7.0のシステムアップデートが今朝届きました。Android Beta Programに登録すればもっと早くアップデートをできるところを、どれぐらい待てば来るかを試したかったこともあってそ…

『創造的進化』

『南回帰線』の主人公は、ベルクソンの『創造的進化』という本から大きな影響を受けたようで、人に読み聞かせることまでしたと書かれています。 この本を読んだことはありませんでした。Googleで検索してみると、難しそうですが興味深くもあります。内容を咀…

ブルックリンのユダヤ人街

『南回帰線』を読み進める中で、ニューヨークのブルックリンのユダヤ人街についての記述がありました。 ニューヨークに行ったとき、ブルックリンに住んでいる友人の家に泊めてもらったことがあります。その家の近所にユダヤ人街があって、そこを歩くと、黒い…

『魔の山』の主人公

『南回帰線』を読んでいて、この前は『白痴』のある登場人物への言及がありましたが、今日読んだ箇所では『魔の山』の主人公と思われる人の名前が出てきました。 名前はわかっても、その人物が何を示すために使われているかは読み取ることができません。 ほ…

性的な記述の解釈

前々回の記事で、『南回帰線』には男女の性的な関係の描写がたくさんあると書きましたが、男女の間の関係だけでなく、男性と女性のそれぞれの性器についての描写も頻繁に出てくるようになりました。 これらは例えば深層心理にあるものを象徴していたりするの…

広島東洋カープの優勝

今回は本とは別の話題にして、野球について書きます。 広島東洋カープがセントラル・リーグの優勝を決めました。25年ぶりだそうです。中日ドラゴンズのファンであるこのブログの主でも、カープの優勝ならば歓迎します。ファンになろうとは思いませんが、自分…

男女関係の描写

『南回帰線』には、今日読んだところも含めて男女の性的な関係の描写がたくさんあります。キリスト教徒であるこのブログの主にとってはつらいものがあります。 70年以上前の作品でこういう描写が多いというのは意外な気がします。本当に知らないのでその前提…

狂信者

『南回帰線』でのキリスト教の信仰に関する話は昨日の記事で書いた牧師の話で終わりかと思っていたら、また別の人が出てきました。 今度の人も肯定的には描かれておらず、狂信者ととらえられるほど現実から離れてしまったような人です。生気に満ちていて、歓…

宗教指導者の影響

『南回帰線』の主人公による回想の中に、ある身近な人の信仰生活についての記述があります。 その人は、あるキリスト教の牧師に信服してそれまで縁遠かった教会の活動に熱心に取り組みます。しかしながら、それは牧師が別の地に移っていなくなってしまうまで…

新学期開始の頃の自殺

今回は本とは違う話題にします。 9月2日にTBSの報道特集を見ました。9月の新学期は自殺する学生が増えるそうです。自殺を防ぐための取組がいくつか紹介されていました。その中で、鴻上尚史さんが、死なずに逃げるように説いていたことも紹介されました。 い…

生活の中の匂い

『南回帰線』の主人公は子どもの頃にあまり都心から離れたところに住んでいたわけではなさそうですが、それでも、子ども時代の描写でさまざまな匂いが描き出されている箇所があります。たとえば、馬の死骸が放つ匂いはかなり強そうです。 昔の方が現在よりも…

小笠原投手のプロ初勝利

今日はプロ野球の話題にします。 中日ドラゴンズの小笠原慎之介投手がプロ初勝利を挙げました。3点リードされているところを少しずつ挽回しているのを途中経過で知ってテレビで見始めて、逆転するところを見ることができました。序盤に3点を取られて、その後…

見えてくる結果

将来どのようになるか、子どもは未知数ですが、ある程度の年齢になると働き始め、結果が見えてきます。『南回帰線』で主人公は、子どもの頃の仲間のその後の進路についての思いを記しています。 自分にとって良い友人が、社会の中でそれほど立派だとは思われ…

自由な物の見方

『南回帰線』の主人公は子どものように自由な物の見方をしているところが特徴であると思いました。今日読んだ箇所にあった「この完全に制約されない幼年時代こそ無限の宇宙であり」という表現がヒントを与えてくれました。 ほかの本で読んだことがありますが…

鋭い感性

『南回帰線』は一人称で語られる形式の作品で、主人公が感じたものの描写がそういう作品の中でも多いと思います。 描かれている主人公の行動には変わったところがあると思いますが、見るものの捉え方もとても特徴的です。心の中にあるものが身近にあるものに…

『白痴』のある登場人物

『南回帰線』の今日読んだ箇所に、先日まで読んでいた『白痴』のある登場人物についての言及がありました。 それは『白痴』の主人公ではなく脇役で、アルコール依存症でおかしなことを言う人物です。『南回帰線』では、主人公が友人と話をしている中でその人…