3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

危機の原因

『桜の園』を読み進めて第2幕に入りました。 主人公が金銭の面で危機にあるのは外側で起きたことが原因というよりも自らが招いたことであることがわかってきました。そうであっても子どもたちや使用人からは支えようとしてもらえているようですので、人から…

ロシアの桜

桜の花といえば日本人にとっては特別な花ですが、ロシアではどういうとらえ方をされているのでしょうか。注によると、ロシアの桜は日本のものと違って色が白いようです。といっても、関東の桜は白いと考える人がいるようですが、このブログの主は関東の人間…

チェーホフ『桜の園』

チェーホフの『桜の園』を読み始めました。岩波文庫に収録されている小野理子氏の訳によるものを読んでいます。 演劇で上演されることがあるという印象がありましたが、題名を知っていても、原作が戯曲であることさえ知りませんでした。 日本語で演じるとき…

『マルテの手記』を読み終えました

『マルテの手記』を読み終えました。 いくつか良い意味で気になる記述がありましたが、全体としてこのブログの主にはわかりづらく、良い印象は持てていません。自分は単純な方だと思いますが、読み取れる人にはそういう者には理解できないようなことが受け止…

放蕩息子のたとえについての解釈

『マルテの手記』の今日読んだ箇所には、聖書に出てくる放蕩息子のたとえについての解釈が記されていました。 想像によってかなり大きく話が広がっていると思います。その解釈を読んでピンとくるものはありませんが、話の展開のさせ方に作家としての想像力の…

親愛王または狂気王

『マルテの手記』の今日読んだ箇所では、シャルル6世というフランスの王の話が出てきます。 この人のことを少し調べてみました。遺伝によると言われる精神異常があったようですが、民衆から愛されてもいたようで、親愛王とも狂気王とも称されているというこ…

ゲーテと少女の往復書簡

『マルテの手記』でまた、有名なのかもしれないけれども聞いたことがなかったことを知りました。 今回は、ゲーテと少女との往復書簡についてです。ベッティーネと名乗った相手の女性が書簡をもとにした小説を著してかなり読まれたようです。一般的には『ゲー…

隣人たち

『マルテの手記』に、一人暮らしをしている主人公の隣人たちが取り上げられている記述があります。 主人公は直接には接していないながらも、隣人が変わった行動をしていることは伝わってきている、という取扱いになっています。関係がある人の行動となると影…

父親との別れ

『マルテの手記』の今日読んだ箇所では、主人公が父親が亡くなったときのことを回想しています。 先に亡くなった母親との関係ほどは近くはなかったようですので、悲しみは伝わってこず、淡々と描かれている気がします。親しくしてはいなかったことから、主人…

母親の思い出

『マルテの手記』の主人公は人と近い関係を築くことに苦労していたようですが、母親との関係は近かったように思われます。 残念ながらそれほど年齢を重ねないうちに亡くなったと思われる母親のことを親しみをこめてママンと呼んでいます。父親についてはそう…

『女と一角獣』(『貴婦人と一角獣』)

『マルテの手記』の第1部を読み終えて、第2部に入りました。 第1部の終わりに『女と一角獣』というタペストリーについての記述があります。日本では一般的に『貴婦人と一角獣』と呼ばれているようです。 このブログの主は美術に疎く、それを知りませんで…

県庁へのUターン転職

最近、職場で前に部下だった人から呼び止められて、今年の3月末で退職するということを聞かせてもらいました。 話によると、故郷の県庁で勤めることになったそうです。そういう仕事であれば筆記試験を受けたということかと思って尋ねてみるとやはり、筆記試…

手記という形式

今日読んだ箇所には手紙のようになっている記述があり、そこから『マルテの手記』という題名について考えることができました。 元の題名で使われているAufzeitnungenは、手記とか記録とか手控えと訳されるドイツ語の言葉です。体験や感想を書き記すものとし…

病院の場面

『マルテの手記』の今日読んだ箇所では、病院の待合いスペースや話を理解してくれない医者が描かれています。それぞれ何を示しているのでしょうか。 待合いスペースでは、そばにいる人たちが不健康で見栄えも良くなかったり、事務員から冷たい扱いを受けたり…

阪神・淡路大震災から21年

今日で阪神・淡路大震災から21年経ちます。 このブログの主は関東の人間ですが、当時、 祖父母が大阪府堺市に住んでいました。父は祖父母を訪ねていました。大きな揺れを感じたと父から聞きました。3人とも無事でしたが、祖父はその頃かなり身体が弱ってい…

故人が姿を現す場面

『マルテの手記』を読み始めて、わかりづらかったことの一つは、主人公が過去を回想している記述の中で、ほかの人たちと食事をしているときに既に亡くなっている人が現れたところです。主人公だけがその人を見たのならば解釈のしようがあるのですが、ほかの…

リルケ『マルテの手記』

今日からリルケの『マルテの手記』を読み始めました。 新潮文庫に収録されている大山定一氏の訳によるものを読んでいます。 今日読んだ範囲では、主人公が経験したり見たりしていることから主人公の考えていることや過去のできごとに関する回想の間で記述が…

『谷間のゆり』を読み終えました

『谷間のゆり』を読み終えました。 主人公と、その心を寄せた女性との関係は、ハッピーエンドにはなり得ないものだったと思います。だからといって、出会わない方が2人にとって良かったかというとそうではないと考えます。現実の生活の中でも、最後について…

主人公への手紙

これまで読んできた『谷間のゆり』も終わりに近づいてきました。 主人公は重要な登場人物と別れることになりました。その別れの前に手紙を受け取っていて、その内容がすべて書き記されています。最近読んだ『狭き門』でも、主人公が受け取る手紙が効果的に使…

子どもに戻ること

『谷間のゆり』の今日読んだ箇所では、ある人物がかなり衰弱した状態で登場します。 その人は、それまでの成熟した態度ではなく、子どものように感情のおもむくままに振る舞っているように描かれています。身体的な弱さが精神面の自制の減退につながったとか…

成人式

今日は成人式に参加する(した)と思われる人を何人か見かけました。 このブログの主は高校生のときに生まれ育った町から引っ越して、越した先では同年代の友人がいませんでしたので、成人式で会う仲間もおらず、成人式には参加しませんでした。 最近そうい…

フランス人とイギリス人

『谷間のゆり』の今日読んだ箇所では、主人公が板挟みになっている2人の女性たちを例としてフランス人とイギリス人の違いが述べられています。 イギリス人の方がフランス人よりも洗練されていたり、打算的だったり、といったところでしょうか。その内容が正…

2人の女性たち

『谷間のゆり』の主人公はいずれも既婚の2人の女性の間で板挟みになります。 片方の人が家庭をよく守り主人公に対しては精神面のつながりだけを持とうとするのに対して、もう片方の人は主人公との関係に快楽を求めてその関係を支配しようとします。この2人…

イギリス人女性と主人公

『谷間のゆり』の主人公は、心を引かれた既婚の女性との間では越えてはならない線を越えることはありませんでしたが、話はその関係だけでは終わりませんでした。 パリで、イギリス人の、こちらも既婚の女性との関係が深くなってしまいますが、この女性の主人…

昔の上司の仲間との交流

今年も今日で1週間が過ぎようとしています。 前の職場の上司に声をかけてもらって、その人の海外駐在時代の知り合いなどによる交流の場に参加することができて、楽しい滑り出しになっています。 最近ある問題がメディアで取り上げられている企業の人からそ…

献身的な妻

昨日も書いたように、『谷間のゆり』の主人公が思いを寄せる女性の夫は自己中心な人物として描かれています。 この人が病気になって倒れると、妻はその日頃の攻撃から解放されます。そうはいっても、看病の務めを果たすために今度は身体的に大きな負担がかか…

自己中心な人

『谷間のゆり』の主人公が思いを寄せる女性の夫は、かなり厄介な人として描かれています。 心を病んでいるというようなことも記されていますが、とにかく自分を中心に考えています。妻が自分のためを思ってしてくれることに感謝することもないように、自らを…

巧みな舞台設定

『谷間のゆり』の背景となっている時期は、前にも書いたとおり、革命とナポレオンによる統治の後の王政復古の時代です。この大きな変化の時代が作品の舞台として巧みに用いられています。 主人公は貴族であり、政治的に強い思想を持っているわけではなさそう…

秀でたるものは義務(つとめ)多し

『谷間のゆり』の主人公は、思いを寄せる女性と別れるときに手紙をもらったということで、その内容が紹介されています。若い主人公が世に出ていくに当たって知っておいてもらいたいことが綴られています。 「じぶんの良心や公衆の良心に反することは絶対にし…

騎士道

『谷間のゆり』の主人公は、思いを寄せている夫と子どものいる女性との関係で自制を続けています。 20歳頃のことを回想している記述となっていて、今日読んだ箇所によれば、当時のフランスにおいて男女間で普通にあるような接触以上には体が近づくことはな…