恋愛の自由と恋愛しない自由
『大地』の第三部では、古い中国と新しい中国が併存している様子が描かれています。併存の状態をわかりやすく表すものとして取り上げているのか、その前まではなかった恋愛についての描写にけっこうなページが割かれています。
登場人物の一人の男性が心を寄せている女性に(ほかの人を経由して)思いを伝えたところ、その女性にはほかにしたいことがあるという理由で断られます。
親が決めた相手と結婚する時代から自由に恋愛をして結婚する時代に移っていくとともに、恋愛をしない自由も結婚しない自由も(特に女性に)もたらされたということだと思います。
新しい時代の自由を享受している若い登場人物にとって、その自由の故に望みが叶わなくなるのは皮肉な気がします。