『ジャン・クリストフ』の主人公であるクリストフは、ある女性と親しくなり、その人物とともに過ごす時間についての記述がしばらく続きます。その中のある会話が気になりました。
2人ともそれぞれの世界で成功を収めていますが、その女性は、馬鹿でないかぎりは成功は不成功以上にむなしいということがわかるはずだというようなことを言います。そして、クリストフはそれに同意します。
成功した人にだけわかることなのでしょうが、成功に向けて努力しているときの方が成功を手にしてからよりも充実しているということだと想像することはできるものの、実感はありません。