同質性の高い社会
『ジャン・クリストフ』の主人公であるクリストフは、スイスのある町で生活することになりました。
それまで住んでいたパリと比べると規模がかなり小さい共同体である様子です。その町の人たちのことが述べられていたところによると、かなり同質性の高い社会のようです。同じようなことを考えている人たちが集まっていて、そこから外れる人が少ない集団です。
客観的にそういう記述を読むと窮屈そうに思いますが、そこに適応する人たちにとっては居心地が良いともいえそうです。自分にとっては嫌だと思いながらも、すでにそういう共同体の一部になっているような気もします。
不幸によるテスト
『ジャン・クリストフ』の最近読んでいるあたりでは、主人公のクリストフが感情的に難しい日々を過ごしています。
その中で、芸術は不幸によって試されるというようなことが書かれていたと受け止めています。真の芸術は不幸な状況の中にある人にとって益になる、対偶を取れば、不幸な状況にある人にとって益にならなければ真の芸術ではない、ということをいっているのだと思います。
長い目線
『ジャン・クリストフ』の主人公であるクリストフと友人が関わっている革命運動には、さまざまな考えを持つ人がいたようです。
その中で、その友人が言っていることが印象に残りました。趣旨としては、革命は自分たちのためのものでなく、1日でできるものでなく、後に来る人たちのために努力しているのだ、というようなことです。
物事を長い目線で見ることができれば、目先のことに振り回されずにすむと思いました。
難しい環境で育った少年
『ジャン・クリストフ』の今日読んだ箇所では、また新しい人物たちが登場します。そのうちの一人が、主人公であるクリストフの友人と近い関係を築き始めます。
この人物は、家族との関係の面でも健康の面でも経済的な面でも難しい環境で育ってきた少年です。クリストフの友人は、労働運動に関わっている大人たちとは親しくなりませんが、その人たちの間で出会ったこの少年には近づいていっています。
特に、この気の毒な少年にとって有益な関係になってほしいと思います。
労働運動
『ジャン・クリストフ』の主人公であるクリストフは友人と一緒に労働運動に関わっていきます。この作品の背景となっている時代の情勢を反映しているのかもしれませんが、意外な展開です。
クリストフたちが交際しているその運動の関係者の人物像がけっこう詳しく描かれていて、同じ活動をしながらも異なる思いがあったり、互いに親しくなかったりしています。
そういうところに一つの運動の力の限界が見える気がします。同じ思いを持って同じ方向を向いて進まなければどのような活動もうまくいかないと思いますが、クリストフたちが関わっている運動はどうなっていくでしょうか。