3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

9年の出征

 『イリアス』のいま読んでいるあたりで中心として描かれている軍隊は、出征して9年になるようです。
 家族を離れて9年も出征しているというのは、かなり長い期間だと思います。『イリアス』が書かれた当時には、そのように長い出征が一般的だったのでしょうか。

「夢」

 『イリアス』にカギカッコつきの「夢」が登場しました。
 人間の形を取って寝ている人の枕もとに現れ、言葉を伝えます。後で、言葉を受けた人が正確にその言葉を繰り返していることから、とても強く伝わっているという設定であると考えます。。
 夢の中で語りかけられるというのはよくある表現ではないかと思いますが、あえて「夢」を登場させるところが特徴的だと感じました。

牛眼

 『イリアス』を読んでいたら、女性の名前の枕詞として、「牛眼の」という言葉が出てきました。牛の眼のように美しい目をしている、というところから来たのだと思いますが、意外な表現です。
 聖書の雅歌で、愛する女性に対して男性が、あなたの目は鳩のようだ、と言っているのを思い出しました。
 現代の日本語で、牛眼が先天緑内障をいうことを知り、ますます話が広がりました。

枕詞

 文学史について学んだときに、『イリアス』は叙事詩であると教わった記憶があります。
 いま読んでいる訳は注が充実していますが、その中で、枕詞のようなものが説明されています。「光」の前にくる「ひさかたの」のような決まり文句があるようで、そういうところから詩らしさを感じます。

ホメロス『イリアス』

 今日、ホメロスの『イリアス』を読み始めました。
 岩波文庫に収録されている松平千秋氏の訳によるものを読んでいます。難解な作品かと思っていたら、訳のおかげか思っていたよりも読みやすいと感じています。それでも、時代背景をまったく知らなかったり、なじみのない名前が多かったり、といったことにより、内容の理解は進みづらい気がします。まずは、ある人とある人が対立しているようだということはわかりました。

『どん底』を読み終えました

 今日、第4幕という最後の幕を読み、『どん底』を読み終えました。
 高い理想を持って発言してきた登場人物による、人間はよりよきもののために生きている、解釈して言い換えれば、後の時代の人たちのよりよい生活のために生きている、というような発言が紹介されましたが、そのような考え方に直接的に沿っているように見える生き方は結末で示されていません。
 また、聞くのに心地よいことを言われて生活を改めようとした人物がいましたが、それは実現していないようです。
 思っていたよりもすっきりしない終わり方でした。革命前のロシアの一つの断片ということなのだと思います。

人の入り乱れ

 『どん底』の恐らく最後の幕の直前まで読み進めました。
 それまでさまざまな方面から展開してきた事柄が一つのところにまとまってきて、そしてぶつかり、人が入り乱れて、それまで味方同士であったはずの人々の間に亀裂が入りもします。人の命に関わるようなことまで起きました。
 結末できれいにまとまることに向けて、一度荒れた状態になっているのではないかと思います。