3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

眠れぬ夜

 前の記事で『イリアス』には強い人ばかり登場するというようなことを書きましたが、少し読み進めるとすぐにそれが覆されるような記述が出てきました。
 登場人物の中でも中心的な人物が、ほかの人たちが眠っている中で眠れぬ夜を過ごします。不安のためにそのようになっているようです。恐れもあるかもしれません。
 本来は味方であるはずの人との仲違いといった弱さも示されていますが、不安で眠らないというのはより人間らしく、ただ強い遠い存在ではないように思えてきました。

強い人たち

 『イリアス』で詳しく描かれる登場人物は、身体能力が高くて戦いに強かったり、家柄が良かったり、という人が多いように思います。そういう人たちのそばには、いわゆる普通の人たちが兵士としてたくさんいるのだろうと思いますが、そういう人たちに焦点が当たることはありません。
 英雄たちの活躍を描くことを目的にしているということなのかもしれませんが、強い人ばかり出てくると現実とかなり異なるように感じます

年長者の影響

 『イリアス』の今日読んだ箇所では、年長のある登場人物の発言が重大な影響を人に及ぼします。
 それまでも、過去の実績に裏打ちされたことを言っている場面があるなど、存在感のある人物ですが、今回は特に大きな働きをしているように見えます。
 年長者がそのように強い影響力を持つことは、時代と場所を越えて文学の世界では広く存在することなのだと思います。実際の社会がそうだからそれを反映しているだけだということでしょうか。

一進一退

 『イリアス』で描かれている戦争では、一進一退の攻防が繰り広げられています。
 そして、その一進一退には、神々の働きが影響していることが記されています。人間のすることが結果を決めているようには見えません。軍隊については、個人個人の能力、装備、食料の補給といったさまざまなことがその強さを左右すると思いますが、それらは互角の前提なのでしょうか。結果の原因を神々の働きに来すると、人間の営みの意味がなくなってしまうような気がします。

引き分け

 『イリアス』で再び行われた代表同士の一騎打ちは引き分けに終わりました。
 結果は引き分けですが、そこまでの過程で一方が優勢になっていました。そこで引き分けにしては不公平だと思いました。続けると逆転しそうな力関係だということなのかもしれませんが、不思議な決着です。

再度の一騎打ち

 『イリアス』で描かれている戦争は一進一退の攻防が繰り広げられ、再び代表同士の一騎打ちが行われそうです。
 今回は呼びかけられた側ですぐには代表が決まりません。その中での数人の言動がおもしろいと思いました。

子への期待

 『イリアス』のある登場人物は、戦争の最中に妻と幼い息子と会います。
 この人物は国の中で優れた戦士として評価されていると思いますが、願い事の中で、息子が自分を超える者になることを願っています。
 こういう思いは時間や空間を越えて多くの人に共通のものなのだと思いました。