3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

罪の進行

 『ファウスト』を読み進める中で、ある人物の罪がほかの人を巻き込み、その影響がさらに広がってついに人が命を落とすところまで進みます。
 一つの罪が一つの罪で終わらずにエスカレートしていく様子を見て、旧約聖書の第2サムエル記に描かれているダビデを思い出しました。
 少しの油断は大きな害につながっていくことを覚えて心を引き締めて生活する必要があると考えます。

一時的な楽しみとその代価

 『ファウスト』の主人公は、悪魔が取り持った関係を一度楽しみながら、その後で苦しむことになりました。
 一時的な楽しみの罠に引っかかって後でその代価を支払うことになるということが表現されているように思いました。これは悪魔の常套手段です。わかっていても引き込まれるのが恐ろしいところです。

悪魔の邪魔になるもの

 『ファウスト』の今日読んだ箇所に悪魔が悔しがっている場面がありました。目論見を持って仕掛けたものについて邪魔が入ったようです。
 邪魔をした人物は直接は登場しませんが、信心深い人物で、悪魔が置いておいた高価な品を聖職者に渡します。聖職者がそれを欲望を持って受け取っているようであるところが、この信心深い人物と対照をなしています。
 悪魔の弱点がうまく描かれている場面だと思います。

不老の薬

 『ファウスト』の主人公は、悪魔に魔女のところへ連れて行かれます。
 そしてそこで、怪しげな儀式の後で、不老の薬とされているものを飲むことになります。すぐにその結果が示されてはいませんが、主人公はかなり怪しいものを体内に取り入れたと思います。
 現実の苦悩から逃れるための手段としての飲酒を極端に表現したものなのだろうかと思います。

 『ファウスト』の主人公は悪魔に連れられて自分の部屋から出ていきます。
 学生たちが酒を飲んで騒いでいるところを訪れますが、そこで悪魔が学生たちに幻を見せる場面が出てきました。望みどおりの種類の酒が流れ出すようにして学生たちを楽しませながら、後でそれが幻であることに気づくようにさせます。
 幻を見ることとその後に現実に戻って幻滅することとが、実際にありそうな様子で描かれていると思いました。

悪魔のアドバイス

 『ファウスト』の中の、悪魔が相手が悪魔だとは知らずに相談をしてきた学生にアドバイスをする場面を読みました。
 親身になってアドバイスを与えるとは思えませんので、害になるようなことを言っているのでしょうが、もっともらしいことを言っているようにも思います。そういうところが悪魔らしさなのでしょう。

悪魔との取引

 『ファウスト』の主人公のところに訪ねてきた悪魔は一度去りましたが、また戻ってきました。
 悪魔と話す中で、主人公が取引をしているように受け取れる言葉があったように思います。かなり昔に上司が聞かせてくれた、悪魔を崇拝する人の話を思い出しました。その話によると、現世では成功できるとのことですが、その後はひどいことになるようです。この世の支配者としての悪魔にはありそうな話だと思います。