3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

情報の伝わり方

 『白鯨』の背景になっている時代は、19世紀の中頃のようですので、今とは全く異なります。
 通信手段が充実してはいないため、ひとたび捕鯨船が航海に出ると、外部の人たちとの接触はとても少なくなります。そういう状況だからこそ、モービィ・ディックと呼ばれる白い鯨についての噂は人の想像によって膨らんでいったようです。
 現代のように一つの情報が簡単に世界中で共有されることは極めて特殊な状況であることについて改めて考えました。

「モービィ・ディック」

 『白鯨』を読み進め、原題となっている「モービィ・ディック」という名が初めて出てきました。題名になっているからには、この名で呼ばれる白鯨が主人公なのかもしれません。
 捕鯨船の船長は、この鯨から身体に被害を受けて、その復讐を望んでいることがわかりました。実際に反対意見を述べる乗組員もいましたが、私怨を動機にして行動する指導者のリーダーシップには問題があるのではないかと、ここまで読んだ時点では感じています。

見張り

 『白鯨』の主人公が乗船している捕鯨船での生活が紹介されている中で、今日は檣(ほばしら)に上って行う見張りについての記述を読みました。
 遠くにいても鯨を見つけられるようにという目的であるものの、主人公が記しているように、一人で考えにふけるチャンスになっていたようです。確かに、高いところから四方の海を見るのは、雄大な景色で思索を刺激しそうです。

実力主義

 『白鯨』の今日読んだ箇所では、主人公の友人を含む、捕鯨船の活動の中で重要な役割を担う3人の人物たちの食事の様子が描かれていました。
 3人とも有色人種で、その人たちに白人の少年が給仕をしています。仕事に必要とされる力があれば、有色人種もある程度高い地位に昇ることができるということで、米国の捕鯨の世界は実力主義に基づいた比較的民主的なところだったのかもしれません。

昇進の報い

 『白鯨』の記述が描き出す捕鯨船での生活の様子は、なじみのない世界を見せてくれるとともに、自分の身近にもあるようなことがところを変えて起きているようなものもあります。
 今日読んだ箇所には、一般の水夫ではない立場が上の人たちによる食事の場面がありました。かなり上位の乗組員は船長と一緒に食事をしますが、席に着く早さと席を立つ遅さとがいずれも上から順になっていることから、その中で序列が低い人は落ち着いて食事をできずにいます。
 その人たちの食事が終わった後、次に上位の乗組員たちが食事をするときには、気にする相手がいないことから自由に振る舞えるようになっています。
 最も上位の人の中の最下位の人が最も不自由な動き方をしている様子は、このブログの主にとって身近な状況を思い出させます。

イルカ

 『白鯨』の中の鯨の種類に関する記述の最後に、数種類のイルカが出てきました。
 これまで知らなかったのですが、少し調べたところ、イルカは鯨の一種であるということがわかりました。
 鯨の種類についての解説はひとまず終わり、主人公が乗った捕鯨船でのできごとに話が戻りそうです。

鯨の種類

 『白鯨』の今日読んだ箇所でも、鯨の種類についての記述が続いていました。
 その中で、このブログの主の理解と違うように思うことが書かれていましたが、その後のところの注によるとやはり現在の説とは異なるようです。
 当時考えられていたことが新たな発見によって覆されたということだと考えます。しかしながら、この作品が書かれた、現代では当たり前になっているような技術の多くが存在せず、帆船で遠くまで捕鯨に行っていたような時代の鯨に関する知識の多くは正確であるようにも思います。