3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

型にはまっていない人物

 『テレーズ・デスケルウ』の主人公であるテレーズは、それまで人から評判を聞くだけだった男性と直接会って話します。
 この人物が心をさらけ出して話すことが珍しかったようです。そして、テレーズ自身もまわりの人たちも、型にはまっているというか、ある一定の範囲から外れることがなかったようですが、この人物はその点が異なります。
 日本人に似ているように思いますし、フランス人についてそういう記述がされているのは意外な気がします。背景となっている地は田舎だというように書かれていますので、それが閉鎖的であることにつながっているのだろうと思います。
 テレーズにとっては、新たに目が開かれたようで、心に変化がありそうです。

英国の総選挙

 今回は本とは別の話題にします。
 英国で総選挙が行われ、与党の保守党が過半数議席を獲得できませんでした。労働党に追い上げられているという世論調査の情報どおりでした。
 小選挙区の選挙で議席数が拮抗するのは意外な気がします。
 去年の国民投票といい、前倒しで実施した今回の総選挙といい、保守党に取っては打つ手が裏目に出ることが続いています。見通しが甘いということなのでしょう。

思いを映し出す鏡

 新婚旅行から帰ってきた『テレーズ・デスケルウ』の主人公であるテレーズは、親しい友人の恋愛に関わることになります。
 その友人と向き合う中でテレーズは、鏡を見たかのように、自らの思いに気づきます。自分と違う思いを友人の中に見たことがきっかけになっていて、うまい表現だと思いました。
 そのほか、ユダヤ人に対する差別の問題も話に関わってきています。

すれ違い

 『テレーズ・デスケルウ』の今日読んだ箇所では、主人公の回想が続けていました。
 結婚してすぐ、主人公と夫との間にすれ違いが生じていました。実際によくありそうですが、正面から向き合うことをしないことで、一緒にいながらも関係が成長しなくなっているようです。
 同じようにならないように気をつける必要があると思います。

回想

 『テレーズ・デスケルウ』の記述は、主人公と同行者の動きに続いて、主人公による過去の回想へと進みます。
 結婚する前のことを思い出していて、富裕な家庭に育ったことや、賢い人であることが情報として示されます。
 そして、結婚以前の生活、特に友人との関係の様子が描かれています。主人公はそこから下り坂を降り続けているようです。
 年齢が示されていないことから、主人公が回想していたのがどの程度前のことかがわかりませんが、それほど長い年月は経っていないのではないかと考えます。

帰宅

 『テレーズ・デスケルウ』の冒頭は、名前が題名になっている主人公が、ある事件に関して起訴されないことがわかって家に向かう場面です。
 ほかの登場人物との間で、主人公が何をしたかを推測できるような会話が行われています。

モーリアック『テレーズ・デスケルウ』

 今日、モーリアックの『テレーズ・デスケルウ』を読み始めました。
 講談社文芸文庫に収録されている遠藤周作氏の訳によるものを読んでいます。
 まず、名前が題名になっている主人公と2人の人物が登場します。会話は重たく、天候もどんよりとしていて、かなり暗く感じる出だしです。