3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

登場人物への呼びかけ

 『イリアス』には、以前の記事で取り上げた、語りながら自分の思いを述べるような記述とは異なり、語り手が登場人物に呼びかけている記述もあります。
 注によると、その対象は特定の登場人物に限られるようです。そして、その理由は不明だそうです。
 口承文学らしいおもしろい表現の方法だと思います。

 

一騎打ち

 『イリアス』の今日読んだ箇所では、対立する二つの軍からそれぞれ代表が前に出てきて一騎打ちが行われそうになっています。
 これは、現代の戦争ではないような、昔らしい戦争の一場面であると思います。こういう戦い方が行なわれている時代と場所は、そこから英雄が現れてくる土壌になっていると思います。現代のような戦争は英雄を不要にしているのでしょう。
 この場面は、ほかの人たちの中から前に出てきた人物が、なぜか腰が引けた状態になります。その後でまた先頭に戻るのですが、腰が引けた点にも深い意味があるのかもしれません。

アルカディア

 『イリアス』に地名としてアルカディアという名が出てきました。
 アルカディア市ヶ谷という建物があり、桃源郷を意味すると聞いたことがあった気がしますが、ギリシャの地名だとは知りませんでした。しかも、今でもある地名であるようです。

語り手の思い

 『イリアス』の今日読んだ箇所に、この作品の語り手の思いが記されているところがありました。
 読み進めながら、語り手は舞台の後ろにいて姿を現さないことを想定していたと思いますが、そうではありませんでした。相当に時代を遡る作品にそういう表現があるのは意外でした。

上田利治さん

 今回は本とは別の話題にします。
 阪急ブレーブスなどで監督を務められた上田利治さんが亡くなったという報道がありました。
 このブログの主は四十代の半ばで、物心ついてプロ野球のことがわかってきた頃に最強だったのが当時の阪急ブレーブスでした。テレビで見るのはジャイアンツ戦が大部分でしたし、住んでいたのが関東だったので、ブレーブスはよくわからない存在でした。そして、そのチームが強いのですから、恐ろしいといえば恐ろしいチームです。
 おなじみの「ええで、ええで」という言葉も含めて、日本のプロ野球の歴史の中で輝きを放ち続ける存在だと思います。

古代ギリシャ語

 いま読んでいる岩波文庫の『イリアス』は、詳しい注がつけられていて、中には本文で使われている訳とそれ以外の説とが紹介されている言葉があります。
 原文で使われているのは古代ギリシャ語だと思いますが、現代とはかなりの時間の隔たりがある言葉であることから、正確に訳すのはとてもたいへんであるはずで、ほかの可能性を教えてもらえるのは有用です。