3年目の世界文学全集への挑戦

40代既婚の男がふと思い立って世界文学全集に挑んでいます

5月の雪

【読み進める中で、ここで「6月」としているのが実際には「5月」であったことがわかりました。ここにそのことを記した上で、本文はそのままにしておきます。】

 文庫で上巻と下巻に分かれている版で『誰がために鐘は鳴る』を読んでいますが、上巻の終わりに近づいてきています。

 主人公にとって予期せぬ、そして不都合な雪が降る中で話が進んでいきます。山岳地帯のようですが、6月に雪が降っています。現地の人たちの言葉によると異常なことではないようです。スペインというと日差しが強くて暑いというイメージを持っていたので、意外です。

 雪が降る中で、登場人物の一人が外で敵の様子を見張っています。出迎えが来るのを待っていても来ませんし、見張りを始めたときには降っていなかった雪が降るようになってしまっているため、日々の生活の場である洞窟に帰ろうという思いも出てきます。この人は老人のようですが、自分よりも若い主人公から頼まれたことを忠実に行い、一人で帰るのではなくて、主人公が迎えに来るまで待っていることができました。主人公はこの老人が割り当てられた役割を良く果たしたことをとても喜んでいるように描かれています。スペイン人一般について皮肉っぽいことを言いつつこの老人を賞賛しています。

 いざというときに適切な判断をすることができるのは、日々の正しい選択の積み重ねによるのではないかと思いました。